京都市内に流れる加茂川のほとりの閑静な一角の小さな町家。この場所に酒器工房を構え、夫婦ふたりですてきな器を日々生み出しているのが「今宵堂」である。手が届きやすい値段であるほか、ここにしかないユニークな焼きものはお土産にもぴったりだ。
「酒器」をもっと身近な存在に
店内にはとっくりや盃(さかずき)、片口に肴を盛りつける小皿など、ちょっとした晩酌シーンに重宝するサイズのものを多く取りそろえている。シンプルながらユニークなデザインで、色合いなどどこか懐かしい雰囲気があり、酒飲みはもちろん、器好きの心もつかむものばかりだ。
「酒器というとハードルが高く感じられるかもしれませんが、実は食の時間で一番使いやすいサイズのものが多いんですよね。晩酌や友人たちと楽しい酒宴、大切な人とのんびりと飲んで過ごす時間など、暮らしの中にあるのむひとときの器を一つひとつ創りだしていけたらと思っています」という上原さん。
酒の場を盛り上げる名わき役
鼻緒を描いた「箸下駄」(600円)や瓢箪(ひょうたん)の形をした「瓢箪箸置」(500円)、宵の席の座興のひとつとして「唱うか踊るか、はたまた酒か! 」などと転がしたさいの目で運命が決まる「座興賽」(500円)、6つのひょうたんで"6瓢(びょう)=無病"と掛けた「六瓢盃」(1,800円)など、夫婦の茶目っ気を感じるかわいいものもある。
今宵堂の人気は今やうなぎのぼりで、人気商品は即完売ということも。ギャラリーで気になるものを見つけたら即GETすることをオススメする。オーダーも可能だが、現在は半年~1年待ちとのことなので、気になる人はお早めにどうぞ。お店へのアクセスは、京都市営地下鉄烏丸線「北大路駅」の1番出口より徒歩5分となる。
●information
今宵堂
京都府京都市北区小山上内河原町52-5
営業: 土日曜日・祝日の12:00~18:00
定休日: 平日(イベントなどで営業日でも休みの場合あり)
アクセス: 京都市営地下鉄烏丸線「北大路駅」下車、1番出口より徒歩5分
※記事中の情報・価格は2015年8月取材時のもの。価格は税別
筆者プロフィール: 金関亜紀
香川県生まれ。九州や山口で考古学に携わり、民俗学などに関心をもつ。東京の編集プロダクションや出版社勤務を経て、フリーランスに。現在、東京-香川を往復する生活を続ける。一年に地方や離島に出かける回数は30回以上。土地の食材や酒、祭りなどのフィールドワークを行っている。共著に『日本全国うまい焼酎虎の巻』(エイ文庫)がある。無類の酒好き。雑誌やネットなどでお酒のコラムをはじめ、離島の島ネタなどを執筆。現在は各地の居酒屋で旬の食材と地酒を求めて放浪。日本酒蔵、焼酎蔵などと蔵との繋がりあり。個人ブログ「ゴン麹 酔いどれ散歩千鳥足」で紹介中。