映画史上"最小"のヒーローがついに日本上陸だ。マーベルの新作『アントマン』(9月19日公開)は、仕事も家族も失った崖っぷち男スコット・ラングが、"仕事"として身長わずか1.5cmになれる特殊スーツによって最小ヒーロー"アントマン"になり、人生をやり直すセカンド・チャンスをかけた戦いに挑む物語。"無職でバツイチ"というスコット(アントマン)は、マーベル映画の主人公としても異色なキャラクターで、戦い方もこれまでとはまったく違う。

アントマンことスコット・ラング役のポール・ラッド

そんなスコット(アントマン)に抜擢されたのは、『ナイト ミュージアム』『40歳の童貞男』などコメディ俳優として知られるポール・ラッド。ペイトン・リード監督に「最強のキャスティング」と言わしめるなど本作でもその実力を見せつけ、マーベルが出世作となったロバート・ダウニーJr.、クリス・プラットに続き、世界的俳優になると注目を集めている。このたび、本作のPRのために初来日を果たしたポールにインタビュー。実生活でも父親である彼は、劇中で見せているのと同じ優しい表情で子供たちについて話してくれ、マーベル作品に出演した喜びも興奮気味に語ってくれた。

――はじめに、アントマン役に決定した時に気持ちを教えてください。

ポール・ラッド 1969年、米ニュージャージー州生まれ。TVシリーズ『フレンズ』(02~04)などに出演後、『40歳の童貞男』(05)、『ナイト ミュージアム』(06)といったコメディ作品を中心に活躍。そのほか『幸せの始まりは』(10)、『ウォールフラワー』(12)など

すごくワクワクしましたね! こういうヒーローものにポール・ラッドって、みなさんもあまり思いつかないと思う。それだけ自分にとっても新しかったのでワクワクしました。

――アントマンは特殊スーツによって体のサイズを変えることができるヒーローで、1.5cmサイズの目線で描かれる世界がとても斬新でした。そんなサイズをコントロールできるキャラクターだからこそ、演じるのが難しかったという点はありますか?

体が小さくなってからのシーンは、何も目に映るものがなかったんです。すべて想像力を働かせてイメージして演じていたので、それが大変でした。だから、完成した映画を見た時は「こうなっているんだ!」って興奮しました。

――想像力のみで演技するにあたり、工夫したことはありますか?

やれることは1つしかないんです。そのシチュエーションを自分が信じること。そして、僕はこの世界観を創るスタッフの力を信じていたので、それが自信になりました。この業界のトップだと知っていたので、VFX(視覚効果)がすばらしいものになると確信できたんです。ですから、流れに身を任せたという感じです(笑)。

――ジャパン・プレミアでは、特に楽しいシーンとして、アベンジャーズの一員・ファルコンとのバトルシーンを挙げられていましたが、やはり注目してほしいシーンはそこでしょうか。

お気に入りのシーンは、機関車トーマスのシーンかもしれない。あのバトルシーンは、この映画のエッセンスが詰まっています。役者とVFX(視覚効果)、ワクワク感や、カメラを引くと「子供の寝室なの!?」という驚きなど、そのバランスがこの映画の醍醐味だと思うので。

――全米初登場1位を獲得するなど世界的にも大ヒットしていますが、この注目作に出演したことによる変化は感じていますか?

こんなにみなさんに注目される作品はおそらく初めてです。TVシリーズ『フレンズ』が近いといえば近いけど、かなり昔の話だし、あの時は脇役だったし。マーベル作品は情熱的なファンがいるので、今回すごくプレッシャーや責任感がありました。でも同時に、認知度も高いと感じています。また、自分の子供も含め、子供と見ることができる作品という意味でも、『アントマン』は初めてに近いんです。それが注目の仕方に影響している気がします。

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