投資を始めようと思ったとき、有力な選択肢になるのが「投資信託」です。お金がたくさんなくても始められる、運用の知識がなくても大丈夫などといわれますが、そもそも「投資信託」とは、どんな商品なのでしょう。購入する前に、これだけは知っておきたい基本情報をまとめました。

投資家から集めたお金をプロが運用

「投資信託」をひと言でいうと「投資家から集めたお金を、運用の専門家が株式や債券などに投資して運用し、その運用成果を投資家に還元する金融商品」です。

投資信託とは?

これだけ聞くと複雑な商品とは思えませんが、たとえば日本株で運用する投資信託の場合で考えてみましょう。ひと口に日本株といっても、東京証券取引所に上場しているだけで約3500銘柄があります。この中から、どの銘柄に、どんな配分で投資するかによって、同じ日本株で運用する投資信託でも運用成績やリスクは大きく異なってきます。投資信託は商品ごとの方針に沿って専門家(ファンドマネジャー)が運用を行ってくれますが、投資家の基本として、どんな商品でどのように運用し、どの程度のリスクがある商品なのかということは正しく理解しておく必要があります。

投資信託のメリットとは?

投資を始める商品として「投資信託」が向いているといわれるのには理由があります。

1.少額から投資できる

株式や債券に投資するには、ある程度まとまったお金が必要になります。しかし投資信託なら1万円程度から、積立ならば毎月1000円程度から(※ただし、販売会社によって異なる)取引することができます。

2.プロに運用を任せられる

金融商品を取引するためには、多くの知識や手法を知らなくてはいけません。それには時間も手間もかかりますから、個人投資家が本業の傍ら身につけるのは難しいものがあります。しかし投資信託なら、運用のプロであるファンドマネジャーが代わりに行ってくれます。

ただし、だからといって任せっぱなしではいけません。運用会社から発行されるレポートなどで、定期的に運用状況はチェックしましょう。

3.分散投資でリスクを軽減できる

投資格言のひとつに"卵はひとつのカゴに盛るな"という言葉があります。これは、すべての卵をひとつのカゴに入れていると落とした時にすべて割れてしまいますが、分けて盛っていればカゴのひとつを落としてもすべての卵を割ってしまうことは避けられる、という教えです。要するに、ひとつの銘柄だけに投資していると価格が下がったとき影響をそのまま受けてしまいますが、複数の銘柄に分散して投資していればリスクが軽減できるということ。多くの投資家からお金を集めて運用する投資信託だからこそ、分散投資ができるのです。

4.個人では投資しにくい国や地域、資産に投資できる

投資信託が組み込む資産は、国内外の株式、債券、不動産など多種多様なものがあります。中には個人投資家が直接購入することは難しい発展途上国のものや、特殊な金融商品へ投資するものもあり、投資対象の幅が広くなります。

投資信託のデメリットとは?

上記のように投資商品の中ではメリットの多い投資信託ですが、やはり預貯金とは違いデメリット=リスクもあります。投資する前にはこれらをきちんと理解しておかないと、××ショックのようなことが起きて資産が目減りしたとき心が折れてしまうかもしれません。

1.元本が保証されていない

投資商品ですから当たり前のことですが、預貯金のように元本保証はありません。極端なことをいうと、投資対象によっては数倍のリターンを生む可能性もありますが、金融危機などによって資産が半減してしまうかもしれません。

もちろん、大幅な下落を生まないようプロが分散投資しているのですから、個人が個別の商品へ投資するよりは下落のリスクは小さくなります。

2.コストがかかる

プロに任せて運用を行ってもらうのですから、そのためのコストが必要になります。そのほか購入する際など、投資信託には以下のような手数料がかかります。

投資信託にかかる費用

同じ投資信託でも販売会社によって購入手数料が異なったり、同様の運用方針でも商品によって信託報酬に差がある場合があります。購入手数料を意識する人は多いようですが、保有している間かかり続ける信託報酬こそ長期保有の場合は差が出ますから、購入の際は必ず確認しましょう。

<著者プロフィール>

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。