矯正歯科治療を提供するアライン・テクノロジー・ジャパンはこのほど、20~50歳代の男女48名に実施した「歯並びと笑顔の関係」の調査結果を明らかにした。調査時期は2015年6月。
今回行ったのは、人が「どこを」「なにを」「どれだけ」見ているかを測定するアイトラッキング(視線追跡)調査。アイトラッキングの技術を持つトビー・テクノロジーの協力のもと実施した。
まず「無表情」「ほほ笑み(歯並び悪い)」「ほほ笑み(歯並び良い)」「大笑い(歯並び悪い)」「大笑い(歯並び良い)」の5つの女性の写真を対象者に見せ、それぞれ7秒間の視線の動きを調査した。
一般的に無表情の場合、目は口元の約2倍視線が集まることがわかっているが(先行研究論文から)、同調査でも同等の結果が得られた。口元は0.68秒に対し、目は1.49秒となっている。
次に、「無表情」、歯並びが良い状態の「ほほ笑み」と「大笑い」の、口元や歯に対する視線の滞在時間を比較した。すると7秒間中「無表情」は平均0.68秒、「ほほ笑み」は0.82秒、「大笑い」は1.75秒と、笑いが大きいほど、口元や歯はよく見られる傾向にあることがわかった。「無表情」に比べ「大笑い」は2.57倍、口元や歯への視線の滞在時間が長くなっている。
「大笑い」の表情の中でも、歯並びが悪い状態と良い状態の口元や歯への視線の滞在時間を比較すると、歯並びが悪い状態は平均2.47秒、歯並びが良い状態は1.75秒と、歯並びが悪い状態は1.41倍、視線の滞在時間が長いことがわかった。
さらに歯並びが悪い「大笑い」における口元や歯に対する男女の視線の動きを比較したところ、女性が最初に口元や歯を見るまでの平均時間は0.42秒、男性は0.80秒で、女性の方が男性より歯並びが悪い状態の口元へ最初に視線が向かうまでに要する時間が約2倍早くなっている。
調査後、「歯並びが良いほほ笑み」と「歯並びが悪いほほ笑み」に対して、「初対面時」「一緒に仕事をする時」「親しい関係になる時」の3場面での印象に関するアンケートを行った。
「初対面時」では、「歯並びが良いほほ笑み」に対しては96%が「きれい」「清潔感がある」などプラスの印象を持ったのに対し、「歯並びが悪いほほ笑み」には「ガサツ」「自分勝手さがありそう」「歯並びに視線がいってしまう」など、マイナスな印象を持つ人が21%いた。
「一緒の仕事をする時」では、「歯並びが良いほほ笑み」に対して「安心して仕事を任せられる」「まじめに仕事をやってもらえそう」など好意的な意見がすべてだったのに対し、「歯並びが悪いほほ笑み」には「ミスをしそう」「わがまま」など仕事に対して心配をするコメントが40%みられた。
「親しい関係になる時」では、「歯並びが悪いほほ笑み」に対しては「品がない」「話が合わなさそう」「適当に相づちや返事をされそう」など、悪印象が35%だった。