JR西日本は16日、京都鉄道博物館の来春開業に合わせて一新される「SLスチーム号」の新製客車について発表した。蒸気機関車の活躍した時期と同年代に製造された客車のイメージを取り入れたデザインとなり、着席定員も大幅に増加する。
8月30日に閉館した梅小路蒸気機関車館では、動態保存された蒸気機関車の牽引で館内を走る「SLスチーム号」が運行されていた。梅小路蒸気機関車館と一体化した施設として開業する京都鉄道博物館でも「SLスチーム号」が運行される予定で、このほど新たな客車が完成したという。新製客車の寸法は最大長18.0m・最大幅2.8m・最大高4.6mで、着席定員は208名(既存客車は80名)、車いすスペースも4台分確保される。
新製客車のデザインに関して、京都造形芸術大学との産学連携も実施。「レトロ」をコンセプトに、牽引する蒸気機関車と同年代に活躍した客車のイメージを取り入れた。車体色に採用された「聚楽(じゅらく)ぶどう色」には、「京都の歴史・優美さと『人が集まって楽しむ』雰囲気の演出」への期待が込められているという。客車の京都寄りに往年の特急列車展望車をイメージしたテールマーク(梅をあしらったデザイン)も掲出する。
車内は明るく開放的な空間となり、動くSLを体感できる乗り心地も提供。かつての特急車両のヘッドマーク図柄をモチーフとしたデザインをボックス席ごとに配置している。使用材料を難燃化し、乗務員への非常通報装置も設置するなど、安全性も高めた。