Snapdragon 802にX12 LTEモデムが搭載される。写真はイメージ

米Qualcommは9月14日(香港時間)、子会社のQualcomm Technologiesが次期「Qualcomm Snapdragon 820」プロセッサに「X12 LTE」モデムを統合すると発表した。下りでのLTE Category 12と上りでの同Category 13をサポートする初のモバイル端末向けのプロセッサとなり、LTEとWi-Fiとの融合技術も特徴となる。上りの場合最大で200%の速度改善が可能としている。

X12 LTEは2015年2月にGobi 9X45から名称変更したLTEモデム。下りで最大600Mbpsの通信速度を実現するLTE Category 12、上りで最大150Mbpsを実現可能なCategory 13をサポートし、下りでは1本のLTE搬送波で4x4 MIMO(Multiple Input Multiple Output)構成もサポートする。これらをサポートするのは、モバイル端末向けプロセッサとしては初としている。

Wi-Fiは、IEEE 802.11acでの2x2 MU-MIMO、マルチギガビット802.11adに加えて、LTE-Unlicensed(LTE-U)とLTE+Wi-Fi Link Aggregation(LWA)もサポートする。LTE-UはWi-Fiなどのライセンスされていない周波数帯をLTE通信に利用する技術で、モバイルネットワークのキャパシティとユーザースループットの改善が見込める技術として期待されている。Snapdragon 820はLTE-Uをサポートする(専用のRFトランシーバー「WTR3950」が必要)初のプロセッサとなり、このほかにも、一部のSnapdragon LTEモデムが採用する上りのデータパケット圧縮技術「Uplink Data Compression(UDC)」も利用できる。

これらにより、前機種と比較して速度は上りで最大200%、下りで最大33%の改善が見込めるという。搬送波を束ねるキャリアアグリゲーション(CA)と256-AQMを下りに利用することで下りの速度は最大600Mbpsを実現したとも報告している。

このほか、セルエッジでのスループットを改良し、通話の途切れを削減する技術「Advanced Closed Loop Antenna Tuning」を初めて搭載した。

LTEとW-iFiの融合という点では、上記のLTE-Uのサポート、LWAなどのほか、Wi-Fiを使って通話を行う「Wi-Fi Calling」、アンテナ共有などの機能も盛り込まれた。

Snapdragon 820はLTEとWi-Fiの両無線技術を利用するハイエンドのモバイル端末向けとなり、Qualcommによると同プロセッサを搭載した初の製品は2016年前半に登場する見込みという。