水琴窟 (すいきんくつ) の原理を応用して、水滴が落ちる "ピチャン" "ポチャン" という心地よい音を作り出す音響装置が水琴 (みずごと)。その自然の音が体調不良の改善に役立つと言われています。ここでは、音・環境プロデューサー 大橋智夫氏の著書「聴くだけで不調が消える 水琴の音CDブック」(監修: 癒しの杜にしかわクリニック院長 西河潤先生)をもとに、その仕組みや取り入れ方を紹介します。
水琴窟って何?
江戸時代の神社や寺院、町屋の坪庭に置かれていたのが手水鉢 (ちょうずばち)。そこで手を洗ったり、口をゆすいだりして溜まった水の排水装置として、水琴窟が生まれました。
水琴窟は、底に穴をあけた大きな甕 (かめ) を地下に埋め、その中に水を流す仕組みです。甕の中にたまった水に水滴が落ちると、甕の中の空間で音が反響します。
"ピチャン" "ポチャン" という音が響き合うことで変化が起こり、それが何とも風流だったので、その音を聞くためだけに水琴窟が作られ、日本の庭園文化で重要な役割を果たすようになりました。
水琴窟は全国にありますが、例えば東京都内だと品川の泉岳寺や新宿の稲荷鬼王神社など、身近なところで接することができます。
水琴が体調改善に効くワケとは?
では、現代版の水琴窟ともいえる水琴がなぜ脳や体によい影響を及ぼすのでしょうか?
音には「人工音」と「自然音」の2種類があります。自然音は、振動の多い様々な高周波の音で構成された繊細で豊かな音です。一方、人工音は振動の少ない低周波でできた、とても単調で大雑把な音です。人はそんな単調な人工音に囲まれていると、イライラしたり不快感を覚えたりするようになり、これが肩こりや不眠、うつといった様々な体調不良を引き起こす原因となるのです。
水琴で脳を活性化できる!
フランスの聴覚心理音声学の権威、アルフレッド・トマティス博士は、人間は「脳はエネルギーの90%を耳から調達している」と言いました。それほど音の刺激は私たちの脳に大きな影響を与えるのです。その意味でも、自然界特有のテンポを持った水琴の音は脳を活性化させる効果を持つとされています。
実際に水琴の音を聴いてみたいという方や全国で水琴が聞けるスポットを知りたい方は「聴くだけで不調が消える 水琴の音CDブック」(学研パブリッシング) をご参照ください。
【試聴】「ポチャン」という水琴 (みずごと) の音は体調改善に効果があるらしい
教えてくれたのは……
大橋智夫さん
音・環境プロデューサー。有限会社ティーズ・コーポレーション代表取締役。京都大学農学部農業工学科卒業。在学中は水利工学を専攻したが、卒業後は音楽の道へ。音が心身に及ぼす影響を研究し、日本の音文化に注目した音空間デザインを手がけてきた。水琴窟の研究者から資料を託されたことをきっかけに、大学時代に学んだ知識とこれまでの音研究の両面から水琴窟を考究。日本独自の文化である水琴窟を現代に復活させ、さらに音響技術を駆使して、超高周波発生装置の「水琴(みずごと)」を開発した。西河潤先生
癒しの杜にしかわクリニック院長。統合医療を実践する内科医。京都大学総合人間学部卒業ののち、大阪大学医学部を卒業。大病院で糖尿病内科医として勤務していたが、がんの友人を失ったことをきっかけに2014年に大阪で開業。病気があっても幸せな人を増やしたいという想いを持ち、食や運動、心の持ち方の指導をしつつ統合医療を行っている。
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