野菜が主役のパンと言えば、まず思いつくのはサツマイモやカボチャ入りの蒸しパンだろうか? はたまた、トマトやズッキーニなどのカラフル野菜たっぷりのピザパンなんてのもよくお目にかかる。しかし、熊本にはこれらのパンとは見た目も味も一線を画したパンがある。その名も「ネギパン」(高岡製パン、税込200円)。なんと、料理の名脇役・ネギが主役をはったパンなのだ!
友だち想い(!?)の学生からの依頼がきっかけ
ネギパンが作られたのは20数年前のこと。当時、全寮制の男子校だった熊本マリスト学園の学生が熊本市内でパンを作る「高岡製パン工場」を訪れ、「ネギ嫌いの友だちにネギが入っていると気付かれないようなパンを作ってほしい」とオーダーしたことがきっかけなのだとか。
学生がいたずら半分の気持ちで依頼してきたこともあり、冗談のつもりで作ってあげたところ、その友だちはあっけなくネギに気付かず完食! しかも、思いのほか学生からの評判が良かったことで、商品化してみようと思ったことが、ネギパンの歴史の始まりなんだとか。
半日で2,000個完売になることも
なんともユニークな誕生秘話だが、その後人気に火が付き、2008年には第5回くまもと食品科学研究会大賞最優秀賞を受賞。さらに2010年には、東京国際フォーラムで開催された「日本全国ご当地パン祭り」の一般投票で第2位受賞の快挙を遂げ、テレビやインターネットで取り上げられて大きな話題となっている。
気になるその味は、熊本県産の葉ねぎと同じく熊本県内で加工したかつお節を使い、自家製ソースで仕上げたお好み焼き風。原料の小麦には熊本県産「ミナミノメグミ」を使用して、パンとは思えないほどソフトな食感を実現している。こだわりの高さゆえ、各種イベントでも大人気で、あるイベントでは半日で2,000個を完売したこともあるのだとか。
「ネッギー」はくまモンにも負けない!?
また、全国ネットのキー局ならびに地方局(熊本)にいたるまで、熊本県内でオンエアされる全ての放送局で紹介された実績も。現在では、ネギパンのキャラクター「ネッギー」も大人気で、高岡製パン代表の高岡辰生さんいわく「缶バッジにもなりましたし、くまモンにも負けていませんよ」となんとも微笑ましい。
残念ながら通販などは行っておらず、熊本県内のスーパーや物産館などでのみ販売している。食べてみたい人は現地を訪れる必要があるが、ネギパン目的で熊本を訪れて、ついでに観光を楽しんでくるというのも粋なもの。秋冬の旅行先をお探しの人も、ぜひ検討してみては?