説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「iPhoneアップグレード・プログラム」の影響は?』という質問に答えます。

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iPhoneアップグレード・プログラムは、Appleが日本時間の9月10日に開催したスペシャルイベントで発表した、iPhoneを対象とした購入プログラムです。携帯電話会社との期間契約に縛られることなく、Appleに対し定額を支払うだけで、最新のiPhoneが発売され次第自動的に乗り換えることが可能になります。

プログラムは当初米国でスタート、以降主要国で展開される計画です。対象機種はiPhone 6s/6s Plusの2モデル、契約期間は24カ月で保証サービスのAppleCare+が含まれ、月々の支払額は32.41ドル(iPhone 6s/16GB)からに設定されています。SIMフリーですから、利用する通信回線は自由に選べます。なお、アップグレードのとき旧機種は下取りされます。

このプログラムの影響は、販売をiPhoneに依存する携帯電話会社におよぶと考えられます。携帯電話会社の多くは、端末にSIMロックを施したうえで回線の2年契約を義務付ける"2年縛り"をビジネスモデルの基本形としており、iPhoneアップグレード・プログラムはこれを崩しかねません。少なくとも携帯電話会社のiPhone取扱量は減少することでしょう。

Appleにとっては、iPhoneの買い換えサイクルを早め、確実なものにする効果が期待できます。新機種発売前に必要な台数の一部が確定するわけですから、契約件数が増えれば生産計画の安定化にも貢献するはずです。今後プログラムの実施国が増えれば、この買い方がiPhoneユーザの大半を占めるようになるかもしれません。

投資家も、このプログラムに概ね好意的な反応を示しています。iPhone 6/6 Plusへの乗り換えは既存ユーザの30%弱にとどまったとする調査資料があり、それがAppleの成長性および投資妙味への疑問につながった経緯もありますから、株価にも影響することでしょう。

携帯電話会社の縛りがない「iPhoneアップグレード・プログラム」は米国でスタート、今後主要国に広がります