既報の通り、カシオ計算機は9日、グランドピアノさながらの美しい音色、豊かな響き、タッチ感を実現した電子ピアノ「CELVIANO Grand Hybrid」シリーズの「GP-500BP」「GP-300BK」、および「CELVIANO AP-700BK」の3モデルを発表した。本稿では、都内で行われた製品発表会の模様をお伝えする。

カシオ計算機の電子ピアノ「CELVIANO Grand Hybrid」は、世界的なピアノメーカーであるドイツのベヒシュタインと協力して開発した製品。こだわり抜いた音づくりで、従来の製品とは一線を画している

AiR Grand 音源とは?

製品の詳細については、カシオ計算機 楽器事業部 執行役員 楽器事業部長の安藤仁氏が解説した。同社では今回、アコースティックとデジタルの調和による、まったく新しいピアノの開発を目指した。新製品の特徴を示すキーワードは「音色、タッチ、新体験」。新開発「AiR Grand 音源」による音色、「木製鍵盤とナチュラルグランドハンマーアクション」による弾き心地、「ホームシミュレーター」「コンサートプレイ」「シーン」といったモードによる新体験を訴求していく。

【左】登壇する楽器事業部長の安藤仁氏。【右】新製品の特長を示すキーワードは、音色、タッチ、新体験の3つ

新製品の3モデルに搭載される「AiR Grand 音源」は、グランドピアノの音色をデジタルで忠実に再現したものだ。なかでもAiR Grand 音源のひとつ、「ベルリン・グランド」に関しては、ベヒシュタイン社と共同で開発を進めた。輪郭のはっきりとした、上品な音と響きを実現している。ちなみにAiR(エー・アイ・アール)とは、「Acoustic & Intelligent Resonator」の略。

【左】鍵盤の左端にあるボタンで、世界三大ピアノの音色を選べる仕様。【右】ベルリン・グランドに関しては、ベヒシュタイン社と共同で音作りを行った

このほかにも、意欲的な機能が数多く盛り込まれている。例えば「マルチ・ディメンショナル・モーフィング」では、弾き方や時間の経過によって音色が変化していく様子を再現。新しい弦共鳴システムや、ハンマーの動きを追求した「ナチュラルグランドハンマーアクション鍵盤」といった新開発の技術も搭載した。鍵盤にはベヒシュタインのグランドピアノで用いられているスプルース材を使用するなど、素材にもこだわっている。

弾き方や時間の経過によって音色が変化していくマルチ・ディメンショナル・モーフィングを採用。ほかにも意欲的な機能を多数盛り込んでいる

【左】鍵盤には、ベヒシュタインのグランドピアノで用いられているスプルース材を使用。【右】グランドピアノと同じ鍵盤構造のアクション機構を採用した

世界にファンを増やしたい

カシオ計算機 取締役 専務執行役員 営業本部長の中村寛氏は「ベヒシュタインさんの協力により、多くのピアニストの夢を実現する画期的な製品を作ることができた。このCELVIANO Grand Hybridにより、当社の楽器事業は新しいステージに進むと確信している。世界中にベヒシュタインファン、カシオファンを増やしていきたい」と意気込んだ。

カシオ計算機 営業本部長の中村寛氏は「世界中にベヒシュタインファン、カシオファンを増やしていきたい」と意気込んだ

また、発表会に招かれたベヒシュタイン社 ピアノ開発責任者のヴェルナー・アルブレヒト氏は、「共同開発を通じて大いに刺激を受けた。無事に製品を送り出せることを誇りに思う。今後のカシオとの協業も楽しみにしている」と話す。同じくベヒシュタイン社 営業責任者のラルフ・デヴォー氏は「かねて日本のマーケットに注目していた。多くの利用者が、ベヒシュタインの提供するアコースティックの楽器にも興味を持っていただけたら、この上ない喜びだ」とした。

ベヒシュタイン社 ピアノ開発責任者のヴェルナー・アルブレヒト氏(写真左)、営業責任者のラルフ・デヴォー氏(写真右)も会場に招かれた