メガバンクの本店はすべて東京。支店やATMが都内やその周辺に集中する理由もわかります。その規模と知名度も手伝って都内での利便性は高いのですが、地方に行くと支店やATMの数が極端に少なくなるため、一気に利便性が低下します。それなら、地方銀行を利用してみてください。東京→大阪→愛知→栃木と移り住んできた筆者が、メガバンクに代わる地銀の魅力を紹介します。
ATMがなければコンビニで!? それは絶対NG!
私の家庭は転勤族なのですが、各地を転々とする中で気が付いたことがあります。それは、地方では東京にいたときにはいつでもできた「入出金」さえままならなくなるということ。「コンビニATMでやればいいじゃないか」という人もいるかもしれませんが、毎回手数料がかかるのはもったいない。実際、提携のコンビニATMで入出金や振込をしようとすると、こんなにコストがかかるのです。
今はメガバンクに100万円を預けても、1年後の利息は250円(税引前)という時代。財布のお金が足りなくなるたびにコンビニに走っていては、1年間の利息分なんてすぐに飛んで行ってしまいます。
地銀なら生活圏内にATMは当たり前!
元々、地方で生まれ、今もその土地で生活している人には当たり前のことですが、地銀のメリットはいろいろあります。
県内に支店やATMが多い
ショッピングセンターや公共施設内などにもATMがある
コンビニATMで入出金無料の銀行もある(※時間、曜日制限あり)
地銀ならではの独自サービスがある
たとえ、家の近くに支店がなくても、よく利用する駅やスーパー、デパート、病院などにATMがある場合が多く、困ることはほとんどありません。ですから、地方に住んでいる人なら、給与の受取口座なども思い切って地銀に替えれば、コンビニで高い手数料を払うことなく、身近にあるATMから無料でお金を下ろすことができます。
コンビニATMで手数料無料のところも
中には、コンビニATMでも入出金が無料の地銀もあるので、県内はもちろんのこと、急な出張で東京などに出る場合でも、コンビニならすぐに見つかるので便利です。ですから、元々地方在住で地銀にしか口座を持っていない人でも、その銀行がコンビニATMで入出金が無料なら、わざわざメガバンクに口座を開く必要はないのかもしれません。
【セブン銀行ATMで入出金無料の地銀一例】
- 神奈川銀行、もみじ銀行、山口銀行、北九州銀行
入出金:平日8:45~18:00
- 愛知銀行
出金:平日8:00~18:00、土曜8:00~14:00
入金:月曜2:00~7:00を除く全曜日、全時間帯
- 三重銀行
出金:平日8:00~18:00
入金:7:00~21:00の全曜日
- 香川銀行
出金:平日8:45~18:00
入金:平日7:00~22:00、土日祝7:00~19:00
- 高知銀行
出金:平日8:45~18:00
入金:平日8:00~23:00、土日祝8:00~21:00
また、八十二銀行や琉球銀行では、県内のローソンATMでは手数料がかかりますが、県外のローソンATMでは曜日と時間帯に制限はありますが、手数料無料で入出金ができます。
顧客目線で生まれるサービスの数々
さらに注目なのが、地銀独自のサービス。全国の地銀の中でも、利用者の立場に立って次々と興味深いサービスを打ち出しているのが、岐阜県大垣市に本店を構える大垣共立銀行です。こちらは全国初の試みも多く、発表されるたびにメディアでも大きく取り上げられるほど。例えば、キャッシュカードや通帳を持っていなくても手のひらだけで取引ができる「手のひら認証サービス」や、車に乗ったまま窓口とATMを利用できる「ドライブスルー店舗」、支店が近くにない人のための「移動型店舗」(飛騨地区限定)など、あっと驚くようなサービスを展開しています。移動型店舗には、ATMはもちろん銀行員もスタンバイしていて、預金やローンの相談にも乗ってくれるというからすごいです。
メガバンクにも土日祝日に営業する店舗はありますが、そのほとんどが資産運用やローンの相談業務のみ。地銀の中には、土日祝日でも窓口営業するところも出てきており、ここにも要注目です。
ここまで画期的なものでなくても、地方ならではの温かな接客や、何かあれば相談に乗ってくれるアットホームな雰囲気も魅力のひとつではないでしょうか。ランチタイムのメガバンクは人、人、人でごった返していますが、地銀は比較的ゆっくりとお金に関するさまざまな相談をすることができます。
もし今後、予期せぬ転勤や引越しで地方在住者になったときには、ぜひ地銀に注目してみてください。銀行によってはコンビニATMでの利便性も高いため、また東京に戻ったときでも、きっとメガバンク同様「使える銀行」のひとつになってくれるはずです。
<著者プロフィール>
内田 歩美絵
フリーランスのライター兼編集者。学習院大学経済学部卒。地方銀行勤務を経て、ダイヤモンド社入社。マネー誌の編集業務を担当する中でさまざまな投資法を学び、その魅力と落とし穴を知る。独立後は経済・金融分野の雑誌、書籍、MOOKのほか、幅広い分野で企画・取材・執筆に携わる。モットーは「綿密なリサーチと話し手に寄り添う取材」。