ちなみに少々内部の話も。今回発表されたRB26は、パッケージサイズやピン配置、外部の電気的特性などは完全にJEDEC準拠なので、そこに関しては他のメーカーのChipsetと完全に互換である。ただJEDECは機械的および電気的な特性を定めているだけで、内部的な構造は各メーカーの自由である。それもあり、RAMBUSは相当内部を作りこんだ模様だ。先ほどもClock Gatingの話が出たが、内部はパイプライン構造になっており、また独自にデバッグ機能あるいはプログラミング機能なども盛り込んでいるらしい。この構造を取っているので、製造プロセスは「通常のCMOSプロセスをそのまま利用可能で、高速動作をさせるためにRFCMOSを使ったりという必要はまったく無い。そもそもトランジスタの速度はそれほど速い必要がない」(Tsern博士)とのことだった。またロードマップとして現状はRB26でDDR4-2666まで対応(DDR4-2933はマージン扱い)という事だが、さらに高速な製品も予定されているとする(Photo13)。
ちなみに速度について、次世代(Broadwell-EP)世代ではDDR4-2400、次々世代(Skylake-EP)世代ではDDR4-2666がほぼ確定しており、この世代までは現在のRB26で十分対応できるとの事。また現在JEDECで策定が始まったRegistered DIMM/LRDIMM向けのRevision B1 Gerberにも対応でき、3DSについてもJEDECで定められている8チップの積層まで対応できるという話だった。またLRDIMMに関して言えば、RB26を利用すればDDR4-2666であっても3DIMM/chの構成が可能だと思う、との見通しだった。また数量はまだ少ないが今後増えてくると思われるSO-DIMMタイプのRegistered DIMMなどにもRB26で対応できる、との事だった。
RAMBUSの会社の姿勢が2013年から変わった話は以前の記事で紹介した通りだ。それまではなんというか、多くの優れたIPを用意した上で、(言葉は悪いが)「欲しければ売ってやる」的なビジネスの姿勢だったのが、新しいRAMBUS(同社の言葉によればRAMBUS 3.0)は「優れた技術を積極的にエンドユーザーに届けたい」という姿勢に変わっている。そうした文脈で考えれば、Chipsetを自社で販売することそのものは会社の方針となんら矛盾するものではなく、むしろ正しく会社の方針を反映しているとすら言える。果たして年末~来年にRAMBUSのChipsetを搭載したDDR4 DIMMモジュールがどの位流通するのか、ちょっと楽しみである。