警察庁は3日、2015年上半期のインターネットバンキングの不正送金発生状況について発表した。これによると、信用金庫、信用組合、農業協同組合、労働金庫の被害が拡大し、特に信用金庫の法人口座で被害が急増していることが分かった。

警察庁によると、2015年上半期のインターネットバンキングの不正送金被害の件数は754件、被害額(※1)は約15億4400万円(実被害額(※2)は約13億7500万円)となり、2014年下半期(被害件数619件、被害額約10億5800万円、実被害額約7億2600万円)に比べて大幅に増加した。

(※1)犯人が送金処理を行ったすべての額
(※2)「被害額」から金融機関が不正送金を阻止した額を差し引いた実質的な被害額

月別発生状況の推移

被害金融機関は144金融機関で、内訳は「都市銀行・ネット専業銀行・信託銀行・その他の銀行」が11行、「地方銀行」が34行、「信用金庫」77金庫、「信用組合」5組合、「農業協同組合」14組合、「労働金庫」3金庫。

被害金融機関数の推移

2014年通年の被害金融機関が「都市銀行・ネット専業銀行・信託銀行・その他の銀行」が16行、「地方銀行」が64行、「信用金庫」が18行、「信用組合」が4組合だったのに比べると、信用金庫、信用組合、農業協同組合、労働金庫の被害が拡大していることがわかる。

特に信用金庫の法人口座で被害が急増しており、2015年上半期の信用金庫・信用組合の法人口座被害額は約3億8100万円となり、都市銀行の法人口座の被害額約8800万円、地方銀行の法人口座の被害額約2000万円を大きく上回る結果となった。

口座種類別の被害状況

警察庁では、外国捜査機関と連携したウイルス通信先サーバの停止やウイルス無害化措置による被害拡大防止対策の実施、信用金庫に対して当日送金の停止等の被害防止対策を要請するなどの対策を行ってきた。

今後も、 事件の徹底検挙及び関係機関等と連携した被害防止対策の継続実施、日本サイバー犯罪対策センターとの連携強化、外国捜査機関との一層の連携強化を進めていくとしている。