妊娠・出産には妊婦健診費、分娩・入院費などさまざまなお金がかかります。そして、妊娠・出産は病気ではないため、これらの費用は基本的に健康保険適用外となります。子どもはほしいけど、お金が心配…という夫婦も少なくないでしょう。
しかし、日本の妊娠・出産に関するサポート制度は「妊婦健診の助成制度」「出産育児一時金」「出産手当金」など、実は世界有数の充実ぶり。これらを利用すれば妊娠・出産にかかるお金を抑えることができるのです。
最近さらに制度が充実しているのをご存知ですか?
1つめは、2014年10月から改正された「育児休業給付金」。
育児休業給付金とは育児休業中に雇用保険から支給されるお金で、職場に復帰するまで(最長で子どもが1歳6カ月になるまで)受け取ることができます。給付を受けながら働くこともでき、その上限が「月10日」から「月80時間」に緩和されました。これにより、1日3~4時間、月20日間勤務するということも可能になったのです。子育てや産後の体調を回復させながら、自分のペースで職場復帰の準備をすることができます。また、短時間でも働いてもらえると助かる、という現場の声もあるようです。
育児休業給付金の受給者は年々増加しており、育児休業中に在宅勤務をする女性も増えていきそうです。
実はあまり知られていない産科医療補償制度の掛け金
さらに「出産育児一時金」も2015年1月1日以降、実は実質1万4000円増えています。
出産育児一時金とは、出産費用として健康保険組合などが妊産婦に代わり医療機関に支払うお金で、出産費用が一時金より少なかった場合には差額を受け取ることができます。この一時金は1胎児につき42万円ですが、そのうち3万円は産科医療補償制度の掛け金だったので、実質利用できる金額は39万円でした。
この産科医療補償制度というのは、出産時の医療事故で重い脳性まひになった子どもに3000万円を支給するというもの。予想より支給対象者が少なく、剰余金が出る見込みだったため1万6000円に減額されました。
しかし、出産育児一時金は減額されず42万円に据え置かれたため、医療機関で使えるお金が実質1万4000円増えたというわけです。これにより、出産費用の負担が減ったり、一時金と出産費用の差額を受け取って他の費用として使ったりできます。
これから子どもがほしい! という人は、これらの制度をぜひチェックしてみてください。
(※写真画像は本文とは関係ありません)
株式会社回遊舎
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」(株式会社秀和システム 著者酒井富士子)、「NISA120%活用術」(日本経済出版社)、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」(株式会社ダイヤモンド社)、「子育てで破産しないためのお金の本」(株式会社廣済堂出版)など。