ゼンハイザージャパンは9月1日、東京都・青山の同社ショールームで、9月3日発売の新作ヘッドホン「MOMENTUM i」「MOMENTUM On-Ear i」の先行試聴を実施した。本稿では新製品の試聴レポートと、ゼンハイザーの「ファンミーティング」への取り組みを紹介する。
ファンと製品の架け橋、ショールーム
先行試聴が行われたのは、東京都・新青山ビル西館2階にあるゼンハイザーのショールーム。ここではゼンハイザー製品を自由に試聴できるほか、製品修理の受付、製品マッチングのアドバイスなどが受けられる。試聴スペースには、AVアンプ、ポータブルアンプ、SACDプレーヤーといった機材に加えて、各種CDを用意。CDのラインナップはクラシック、ピアノ、ジャズのほか、洋楽や邦楽のポップスも多くそろえている。オフィスビル内にあるため仕事の合間に訪れる人も多いが、中には自前のCDや音源入りのUSBメモリなどを持ち込み、1時間以上滞在するファンもいるという。
ショールームでは、用意されたヘッドホン、イヤホン、アンプ、プレーヤーなどを自由に組み合わせて使用できる |
「HD 800」など、手に取る機会が少ないハイエンドヘッドホンも試聴可能。写真はショールームのスタッフが「ベストマッチング」として提案するアンプ「HDVD 800」とのセッティング |
「ファンミーティング」の意義
今回の試聴会は、ゼンハイザージャパンのWebサイト、Facebook、Twitterのみで告知された、いわば濃いファン向けのイベント。製品の発売前に先行試聴を行うのは、7月発売の「MOMENTUM G」「MOMENTUM On-Ear G」に続き2回目だ。ゼンハイザージャパンはなぜ、製品発売前に試聴の機会を設けているのか。ゼンハイザージャパン マーケティングマネージャーの新井氏は、「ゼンハイザーを愛してくれているファンはコアな方が多い。製品の音をいち早く、静かなショールームというベストな環境で聞いてもらうことで、コアなファンへの感謝を表している」と話した。
ゼンハイザーでは、コアなファン向けのイベントとして「ヘッドホン試聴会&ファンミーティング」を行ってきた。ファンミーティングはこれまでに札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡の7大都市や、岡山、金沢、鹿児島、沖縄などで実施。全国各地を2カ月に1度のペースで回ってきたという。今では、店頭にラインナップが揃いにくく、ハイエンドモデルに触れる機会が少ない地方のファンにとって、外せないイベントとなっている。実際に、地方在住のファンは「2時間かけて車で来た」など熱意が伝わる反応を示してくれるという。
「MOMENTUM i」「MOMENTUM On-Ear i」
ショールームを堪能したところで、いよいよ新作「MOMENTUM i」「MOMENTUM On-Ear i」を試聴。MOMENTUMの第2世代は、7月に発売されたサムスン製スマートフォンGalaxy対応モデル「MOMENTUM G」「MOMENTUM On-Ear G」と、9月3日発売のiOS端末対応モデル「MOMENTUM i」「MOMENTUM On-Ear i」の4製品だ。
今回のファンミーティングは、発売前のMOMENTUM i、MOMENTUM On-Ear iをいち早く試聴できるという点で話題を集めた。MOMENTUM iはオーバーイヤー、MOMENTUM On-Ear iはオンイヤータイプの密閉型ヘッドホンだ。第2世代では、新たに折りたたみ機構を採用。音質面も調整しており、第1世代「MOMENTUM」で優しく鳴っていた低音が、第2世代ではより深く、拡がりを持つように調整されている。
筆者はMOMENTUM i、MOMENTUM On-Ear iをiPhoneに直接つなぎ、女性ボーカルのポップスとクラシックを1曲ずつ試聴。MOMENTUM iは第1世代「MOMENTUM」から解像感が上がっており、音の粒子がかなり細かい。音に立体感があるが、ボーカルと楽器がそれぞれ開放的に聴こえるため重苦しさを感じなかった。
MOMENTUM iを開放的とするなら、MOMENTUM On-Ear iは閉鎖的・内向的な印象。パーカッションなど、主に楽器の音が深いところで鳴っているように感じた。ボーカルはサ行の音が押し付けがましくなく、楽器の音と自然にマッチする。音にシャリシャリとした軽さがなく、低音の重みをしっかりと感じられた。