東京商工会議所は7月7日~31日にかけて、震災対策特別委員会において、「防災対策に関するアンケート」を実施した。回答数は1,833。
帰宅困難者対策条例の認知度は66%
帰宅困難者対策条例の認知度を尋ねたところ、66.4%で前年度調査の62.0%から上昇した。認知度は従業員規模が小さくなるほど低下する傾向にある。
条例の努力義務である「全従業員分の3日分の備蓄」を行っているか聞くと、実施率は約半数だった。また、都が呼びかけている「外部の帰宅困難者向けの10%余分の備蓄」をしている企業は2割に届かないことも明らかになった。
従業員に対する安否確認手段は「メール」が約6割、「通話」が約5割。災害時の安否確認に有効な「災害用伝言サービス」は32.2%にとどまった。従業員に対する家族との安否確認手段の周知状況を調べると、約6割の企業が災害時に有効な家族との安否確認手段を従業員に周知していないこともわかった。
一時滞在施設としての協力に対する考えを聞くと、一時滞在施設として協力する企業、協力する可能性がある企業の合計はわずか6.2%だった。協力できない理由は、「スペースがない」が半数を占めた。
首都直下地震時に必要な帰宅困難者の一時滞在施設は約92万人分と想定されているが、現状は約19万人分の確保にしかできていない。不足している中で、「災害時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度」の創設が民間の一時滞在施設の増加に有効だと考える事業者は94.5%と9割以が回答している。
BCPの策定率は26.5%
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことを指す。
BCPの策定率を調査したところ、前年度調査の19.1%から上昇したものの26.5%と低水準にとどまった。また、従業員規模が小さくなるほど策定率は低下している。策定している企業のうち、定期的な点検・改善や従業員への防災教育・訓練を行っている企業はいずれも約7割で、防災対策への意識の高さがうかがえる。
BCPを策定していない理由は「ノウハウ・スキルがない」が約6割で最多。完了していない課題は、「自家発電機など、非常用設備の導入」「燃料(ガソリン・軽油)の確保」がそれぞれ約4割だった。強化・拡充を望む行政の防災対策として、「インフラの耐震化」(67.2%)、「帰宅困難者対策」(53.4%)の回答が多く寄せられている。