米AMDは27日(現地時間)、"Fiji"コアを採用した最新グラフィックスカード「Radeon R9 Nano」の詳細な仕様を公開した。カード長は約15cm(6インチ)で、Mini-ITXサイズのゲーミングPCにも搭載可能だという。9月7日週の発売を予定する。

Radeon R9 Nano

「Radeon R9 Fury」シリーズは、米AMDが2015年6月に発表した最新GPU。グラフィックスメモリに広帯域が特徴である「HBM」(High Bandwidth Memory)した"Fiji"コア(開発コード名)を採用する。

"Fiji"コアを搭載したグラフィックスカードとしては、水冷クーラー採用の最上位モデル「Radeon R9 Fury X」と空冷クーラー採用の「Radeon R9 Fury」がすでに発売済みである。

Fijiコア採用のグラフィックスカード。さらにFury Xを2基搭載したデュアルGPUカードの投入も予定されている

「Radeon R9 Nano」の特徴は約15cm(6インチ)とコンパクトサイズなことで、Mini-ITXに対応した小型PCケースへの搭載も可能だという。

HBM搭載によりメモリの実装面積を削減することで、コンパクトサイズを実現する。R9 290Xと比較して40%ほどカード長を削減したという

ほかの小型カードと比較してもさらに短いうえに、これまでの小型カードは1080pや1440pをターゲットとしているのに対し、R9 Nanoは4Kゲーミングもプレイ可能とする

Mini-ITX搭載のキューブ型ケースでも搭載できる

これまでのゲーミングPCと比べて、はるかに小型でシステムを構築できるという

一方で4,096基のStream Processorや最大1,000MHzの動作クロック、4GB HBMと、最上位モデル「Radeon R9 Fury X」に並ぶ、あるいは迫る高いスペックを備える。

R9 290Xと比較して30%の性能向上

競合となるのは小型サイズのGeForce GTX 970で、4Kゲーム環境では30%高速だという

2013年にAMDが発表したRadeon R9 290Xと比較して、40%のカード長削減、30%の処理性能向上、30%の消費電力削減、2倍の電力効率を実現するという。

補助電源コネクタは8ピン×1、TDPは175W

このほか、DirectX 12、Vulkan、OpenGL 4.5、MantleといったAPIのサポートや、ディスプレイ表示技術「FreeSync」、VR向け技術「LiquidVR」、低解像度でゲームをプレイする際に画質を向上させる「Virtual Super Resolution」などの機能を備える。

ベイパーチャンバーとヒートシンク、シングルファンを組み合わせたクーラーを採用することで、R9 290Xのリファレンスクーラーと比較して、GPUの温度を20度低下させられるという。また、クーラーのノイズも抑え、図書館にならぶ静かさだという

既存モデルとのスペック比較は以下の通り。

■既存モデルとのスペック比較
モデル Fury X Fury Nano 290X
製造プロセス 28nm
Stream Processors 4,096 3,584 4,096 2,816
Compute Units 64 56 64 44
ROPs 64基 64基 64基 64基
Texture Units 256基 224基 256基 176基
動作周波数 最大1,050MHz 最大1,000MHz
メモリ 4GB HBM 4GB or 8GB GDDR5
メモリバス幅 4096bit 512bit
メモリクロック 500MHz / 1.0Gbps 5000MHz
メモリ帯域幅 512GB/s 320GB/s
TDP 275W 175W 250W
補助電源ピン 8ピン×2 8ピン×1 8ピン×2