ブラジルの格付け引下げへ
2015年8月11日、格付会社ムーディーズ・ インベスターズ・サービスが、ブラジルの長期債格付け(自国通貨建て、外貨建て共に)をBaa2からBaa3へと1段階引き下げました。ブラジルの債務比率が安定するための「最低+2%のGDP成長率と、対GDPで2%のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字達成」が難しいとの見方が今回の引下げの理由です。
ただし、今後の格付け見通しは「安定的」とされ、当面は投資適格の格付けが維持される公算が高いと考えられます。
プライマリーバランスって何?
さて、ここで出てきた「プライマリーバランス」。よく耳にしますが、いったいどんな指標でしょうか。
プライマリーバランスとは、国や地方自治体の収入と支出のバランスをみる指標の1つで、国の収入である税収と国の支出の釣り合い状態を表しています。
ですので、「プライマリーバランスの均衡」とは税収と一般歳出が同程度の状態。プライマリーバランスが黒字(プラス)ということは、税収で一般歳出がまかなえている状態を意味します。つまり借金せずに国の運営ができる状況のことです。
一方、赤字(マイナス)の場合は、一般歳出が税収より大きくなっており、公債などの借金で支出分を補完しなければならない状況をいいます。
プライマリーバランスのイメージ図
ブラジルレアルの動きは?
8月11日のニューヨーク為替市場では、ブラジルレアルは中国元切り下げの影響を受けて軟調に推移していました。しかし、格下げ発表後は、格付け見通しが好感されたことから小幅上昇、前日比では対米ドルで1.1%、対円で0.7%のブラジルレアル安と 小幅下落にとどまりました。ただし、格下げの懸念は依然として残っており、ブラジルレアルは今後も不安定な動きが続くと考えられます。
ブラジルの財政再建の進捗とレアルの動き、今後も注目です。
●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ボンジュール」からの転載です。