全国各地を飛び回る出張族にとって、ビジネスホテルチェーンのポイントカードは必携だ。無料宿泊をはじめ、優先予約やアーリーチェックイン、レイトチェックアウトなど特典は盛りだくさん。そこで今回は有名チェーンのポイントカードを中心に、各社のサービスを比較してみたい。

ポイントカードを侮るなかれ!

本文ではその場で入会できる一般的な会員プログラムを対象とし、クレジット機能付き等のカードや、レストラン利用など宿泊以外のポイント等については除外している。また、受けられるサービスの中には他の割引を伴うキャンペーンプランや無料券との併用が不可、または、一部の客室は対象外になる場合もある。

なお、基本的にホテル公式サイトからの予約によってポイント加算などの特典が受けられるため、系列ホテルであっても対象外になる場合があることや、宿泊プラン等の諸条件で制限されることもある。実際の利用の際には、各ホテルの公式サイトで確認していただきたい。

大手チェーンのサービスは多種多様

まずは全国展開をしている大手の会員サービスを比較してみよう。

北海道から沖縄まで全国253ホテルを展開する「東横イン」は、お手頃な価格設定ということもあって何かと重宝している人も多いだろう。同ホテルは「東横INNクラブカード」(入会金: 一般1,500円 60歳・学生1,000円)を展開している。会員になるとクイックチェックインのほか、15時よりアーリーチェックイン(通常16時)も可能になる。さらに、10泊でシングル無料宿泊券がもらえるのもうれしいところ。

続いては、全国284ホテルを展開する「アパホテル」。同ホテルは「アパカード(アパポイントクラブ会員証)」(入会金: 無料)を設けており、会員数は945万387人(2015年7月末日現在)にもなるという。会員になるとクイックチェックインができるほか、100円毎に10ポイントが加算され、5,000ポイントで5,000円キャッシュバック、さらに、2万ポイントで2万2,000円キャッシュバックとなる。そのほか、3,000ポイント/5,000ポイント/1万ポイントでカタログギフトに交換できるので、保有ポイントに合わせて使い分けてみるといいだろう。

ホテルによっては天然温泉も併設している「スーパーホテル」は現在、海外も含めて全112ホテルをかまえている。同ホテルの会員サービスに当たる「とくとくECO泊カード2015」(入会金: 無料)を持っていると、1泊1室につきスタンプ1個が捺印され、スタンプ3個で次の宿泊時に1,000円、もしくは5個で次の宿泊時に3,000円がキャッシュバックされる。

最後は、各エリアに41ホテルを展開する「リッチモンドホテル」の「リッチモンドクラブ」(入会金: 無料)について。こちらではクイックチェックインのほか、チェックアウトを12時無料で延長できるので、宿泊日の翌日の予定がゆっくりな人にオススメだ。そのほか、宿泊料金1,000円で100ポイントが加算され、5,000ポイントで5,000円分の宿泊優待券と交換できる。

チェーン系店舗独自のスタンプカードも

前述のような全国チェーンホテルの中には、店舗独自でキャンペーンなどのスタンプカードを発行する施設がある。例えば、「東急ホテルズ」の東急REIホテルチェーンでは「東急ホテルズコンフォートメンバー」という会員プログラムを利用できる。

例えば長野県の「上田東急REIホテル」では、「5泊でお得なプレゼントスタンプカード」という独自のキャンペーンを行っている。宿泊1泊でスタンプが1個付与され、スタンプ5個で同ホテル正規宿泊料金から50%オフになる割引券またはJCBギフトカード1,000円、スタンプ10個で同ホテルのスタンダードシングル1泊の無料券がプレゼントされる。なお、有効期限はカード発行日から1年間となる。

全国各地のホテルで使えるお得カード

各社しのぎを削るビジネスホテルチェーン会員プログラムであるが、大手チェーン以外でも北海道から九州・沖縄まで全国にある全国462の独立系ホテル・レストランで利用できるカードがあるのをご存じだろうか。

「Aカード」(入会金: 無料)と呼ばれるもので、クイックチェックインができるほか、宿泊料金100円で10ポイントが加算され、5,500ポイントで5,000円、9,750ポイントで1万円円、1万9,000ポイントで2万円がキャッシュバックされる。キャッシュバックは加盟ホテルのフロントで対応してくれる。

一般的なポイントカードも対象に

こうした特典はなにもホテル専用のものだけではない。一般に普及している電子マネー・ポイントカードでも有名な全国チェーンのビジネスホテル利用できるチェーンもある。

例えば、「ルートインホテルズ」ではローソンなどでの利用でお馴染みのPontaカードで、宿泊100円につき3ポイント付与される。また、「コンフォートホテル」ではTポイントカードが利用でき、こちらは利用100円につき1ポイント付与される。


このように、会員特典などリピーターを狙ってサービスを設定しているビジネスホテルは多い。各施設により還元や優待内容、有効期限等は異なるが、入会金無料や宿泊日当日からポイントが貯まる、さらに、会員限定のキャンペーンなどを実施するところもある。初めて利用するホテルでは、ぜひ会員サービスにも着目して少しでもお得に利用していただければと思う。

※記事中の情報は2015年8月取材時のもの

筆者プロフィール: 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)

ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。

「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」