米NVIDIAは20日(現地時間)、デスクトップ向けGPUの新モデル「GeForce GTX 950」を発表した。第2世代"Maxwell"アーキテクチャをベースとしたミドルレンジモデルで、MOBA(Multiplayer online battle arena)向けに最適化が図られている。米国における参考価格は159ドル。
GeForce GTX 950は、第2世代"Maxwell"アーキテクチャベースのGPUで、製造プロセスは28nm。GPUコアには、2015年1月に発表した「GeForce GTX 960」と同じ"GM206"コアを採用する。
GeForce GTX 960と比較して、CUDAコア数が1024基→768基と減ったほか、ベースクロックが1126MHz→1024MHzと引き下げられている。一方でブースト時のクロックは1178MHz→1188MHzとわずかに上回っている。
GM206のブロック図。Maxwellは128基のCUDAコアで1基のStreaming Multiprocessor(SM)を構成している。GeForce GTX 950とGeForce GTX 960のCUDAコア数は、256基の差なので、2基のSMを無効化したと考えられる |
DirectX 12のFeature Level 12_1に対応し、上位モデルと同様に「Volume Tiled Resources」や「Conservative Raster」が利用できるほか、高品質ながら低負荷のアンチエイリアス処理「Multi Frame sampled Anti-Aliasing(MFAA)」、「グローバル・イルミネーション」の負荷を軽減する「VXGI」(VoXel Gloval Illmination)、ディスプレイ表示技術「G-SYNC」をサポートする。(DirectX 12のFeature Levelについてはこちらを参照してほしい)
Kepler世代のGeForce GTX 650比で3倍の性能向上を実現したという。GeForce GTX 960はミドルレンジでもどちらかというとエントリー寄りのモデルとして、数世代前の製品や内蔵グラフィックスからのリプレイスを狙った製品だ |
主な仕様は、CUDAコアが768基、ベースクロックが1024MHz、ブーストクロックが1,188MHz、メモリが128bit接続のGDDR5 2GB、メモリスピードは6,600MHz、TDPは90W、補助電源は6ピン×1、PCとの接続バスインタフェースはPCI Express 3.0。映像出力コネクタはDL-DVI×1、HDMI 2.0×1、DisplayPort 1.2×3。
MOBA向けに処理を最適化
GeForce GTX 950では、DOTA2やLeague of Legendsといったいわゆる"MOBA"(Multiplayer online battle arena)系のゲームに対する最適化が図られている。
現在、圧倒的な勢いでプレイ人口が拡大しているMOBA。世界各地で大会が開かれ、それをストリーミングで視聴するユーザーも多い。GeForce GTX 960の発表時もMOBAをターゲットにという話があったが、今回はより一歩踏み込んだソリューションを提供する |
NVIDIAではMOBA系のゲームについて解析を行い、レンダリングの高速化と最適化によって、ボタンをクリックしてからゲーム画面に反映されるまでのレイテンシを短縮したという。DOTA2を例にすると、レンダリングの高速化に加えて、DirectXにおけるパイプライン処理を1段減らすことで、Kepler世代の「GeForce GTX 650」では80msだった応答性を45msまで削減できたとしている。
最適化されたゲームはGeForce Experienceから起動できる。また、今回の最適化はGeForce GTX 950をターゲットとしたものだが、今後ほかのモデルでも提供する予定だという。
GeForce GTX 950搭載システムでGeForce Experienceを立ち上げると、最適化可能なゲームのリストに、通常のDOTA2に加えてDOTA2の「Low Latency」版が追加される |
既存製品とのスペック比較は以下の通り。
■既存モデルとのスペック比較 | ||||
モデル | GeForce GTX 970 | GeForce GTX 960 | GeForce GTX 950 | GeForce GTX 750 Ti |
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アーキテクチャ | 第2世代Maxwell | 第1世代Maxwell | ||
ベースコア | GM204 | GM206 | GM206 | GM107 |
製造プロセス | 28nm | |||
トランジスタ数 | 52億個 | 29.4億個 | 18.7億個 | |
GPC数 | 4基 | 2基 | 2基 | 1基 |
SM数 | 13基 | 8基 | 6基 | 5基 |
CUDAコア数 | 1664基 | 1024基 | 768基 | 640基 |
ROP数 | 64基 | 32基 | 32基 | 16基 |
テクスチャユニット数 | 104基 | 64基 | 48基 | 40基 |
GPUベースクロック | 1050MHz | 1126MHz | 1024MHz | 1020MHz |
GPUブーストクロック | 1178MHz | 1178MHz | 1188MHz | 1085MHz |
メモリクロック | 7000MHz | 7000MHz | 6600MHz | 5400MHz |
メモリタイプ | 4GB GDDR5(256bit接続) | 2GB GDDR5(128bit接続) | 2GB GDDR5(128bit接続) | 2GB GDDR5(128bit接続) |
TDP | 145W | 120W | 90W | 60W |
補助電源ピン | 6ピン×2 | 6ピン×1 | 6ピン×1 | |
出力端子 | DL DVI×1、DisplayPort×3、HDMI×1 | DL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1 | DL DVI×1、DisplayPort×3、HDMI×1 | DL-DVI×2、miniHDMI×1、DisplayPort×1 |