俳優の阿部寛が、10月スタートのTBS系ドラマ『下町ロケット』で主演を務め、女優の土屋太鳳と初共演を果たすことが19日、明らかになった。
原作は第145回直木三十五賞を受賞した池井戸潤氏の同名小説。受賞時には「人々の希望をつなぐ爽快な作品」と評され、文庫版を含め累計127万部を超えるベストセラーを記録した作品で、半沢直樹シリーズや『ルーズヴェルト・ゲーム』などヒット作を連発する池井戸氏の代表作との呼び声が高い。
阿部が演じる主人公の佃航平は、宇宙科学開発機構の研究員だったが、自分が開発したエンジンを載せたロケットの打ち上げ失敗の責任を取らされ退職。父親が遺した下町の工場を継ぎ、小型エンジンを主力とする佃製作所の社長として第二の人生をスタートさせるが、夢を捨てきれずに続けていたロケットエンジンの研究開発が原因で、業績は下降していく。
さらに、主要取引先からの取引中止があり、銀行からは融資の貸し渋りを受け、大手機械メーカーのナカシマ工業から特許侵害で90億もの損害賠償を請求される。そして、資金繰りが苦しい中でナカシマ工業との裁判を戦わなければならないという窮地に、大企業の帝国重工から、佃製作所が持つ佃の夢が詰まったバルブシステムの特許を20億円で買い取りたいとの打診が来る。そんな困難を乗り越えながら、夢をあきらめない男と、社員のプライドとが紡ぎだす未来を描く。
阿部は、自身が演じる主人公について「自分を貫くということは時として煙たがられてしまうこともありますが、そこで卑屈にならないで、良い物を作っていくという姿勢に役者として共感します」とコメントし、「会社の経営者として、弱いところと強いところを併せ持つ等身大の役を演じるのは初めてなのですが、"佃航平=阿部寛"と思われるような作品になればうれしいです」と意気込んでいる。
また、阿部演じる佃の一人娘、高校生の佃利菜役には、現在放送中のNHK連続テレビ小説『まれ』でヒロインを務める土屋太鳳が決定。「日本を支える"ものづくり"の心と技術への情熱を、役と一緒に見て、聞いて、全力で感じたいと思います」と話している。
なお、10月から朝日新聞朝刊で池井戸氏による連載小説『下町ロケット2』の連載もスタート。ドラマは全10話の予定で、前半を『下町ロケット』、後半を『下町ロケット2』を原作として映像化する。