WOWOWの連続ドラマW『石の繭』(毎週日曜 22:00~)が、16日にスタートする。麻見和史の警察小説シリーズ「警視庁殺人分析班」の第1作を実写化した本作は、猟奇殺人事件の犯人と女性刑事の攻防戦を描くクライムサスペンスだ。
亡き父の後を継ぎ、警視庁捜査一課の刑事になった如月塔子を演じるのは木村文乃。本作が初めての刑事役となる。また、塔子とコンビを組む鷹野秀昭を演じたのは青木崇高。正義感が強い一方、危なっかしい一面もある塔子を、厳しく指導しながら温かく見守る役どころだ。そこで撮影を終えた2人に、本作の見どころや撮影中の様子について話を聞いた。
――警察小説をドラマ化した本作ですが、どんな作品になると思いましたか?
木村「ちょうど『次は刑事ものができたらいいね』と話していたタイミングでオファーを頂いたんですが、『絶対面白いものになる、本格派という言葉を付けられる作品になる』と思いました。このドラマは人間関係の複雑さを描き出しているなと思います」
青木「原作では被害者がヒドイ殺され方をしているんですが、今はなかなか映像で表現しにくい時代。でも、今回はWOWOWさんなので、スタッフさんもノリノリでリアリティが出るように撮っている。一人ひとりがクリエイティブな映像表現にこだわったからこそ、演じる上での起爆剤になりました」
――木村さんは初の刑事役だったそうですね。
木村「塔子は女の子っぽくて、あまり刑事らしくなくて。普通の刑事だったら落ち着いているところを、慌てたり、叫んだり、人を盾にしたり(笑)。私も刑事役は初めてだったけど、塔子にとっても初めての大きな事件。塔子と同じく“分からない”という気持ちを、良い意味で使っていけたらと思って演じました」
――それぞれの役を演じるうえで、意識したことはありますか?
木村「"揺れ"です。演じる上で一本筋を通しつつ、気持ちの"揺れ"を大切にして演じました。塔子はすごく女の子らしい部分と意志が強い部分があって、その2つを表現するのが難しかったです」
青木「塔子は"揺れ"を表現しつつ、鷹野は『揺れるな! 俺たちの仕事はそこに向き合うことじゃない!』と喝を入れるという役どころでした。事件の捜査という厳しい環境の中、塔子も成長していくし、鷹野も塔子を育てることで自分自身も成長していくんだと思いました」
――本作で初共演を果たした木村さんと青木さん。お互いの印象は?
木村「撮影前は怖い人だと思ってました。『失敗したら拳が飛んでくる!』と勝手にイメージしてました(笑)。でも、初日からお茶目さんでひょうきんで、現場を楽しくしてくれました。私は『お兄ちゃん!お兄ちゃん!』と甘えて構ってもらってましたね。ちょっかいを出すと、全力で返してくれるすごく優しい方でした」
青木「そんな怖いかな~(笑)?木村さんは、フラットに先入観なく、色んなものを受け止めようとしている人。今回はセリフも多かったけど、高い集中力でこなしていましたね」
――クールで飄々とした鷹野のような上司はどうでしたか?
木村「クールだけど、すごく優しいんです。今の社会で塔子みたいな人間がいたら、放っておかれるか、怒鳴られるかで済まされてしまう。鷹野さんのように、真正面から向ってくれる丁寧な上司はなかなか出会えない。塔子としても私としても、揺れてちゃいけないなと思いました」
――男性陣ばかりの警視庁捜査一課では木村さんが紅一点でした。
青木「女性1人だけど、しっかりと刑事でした。捜査一課の中でも、撮影現場でも、自然で違和感がありませんでしたね。彼女に自由にいてもらうことが現場の良い空気になっていました」
――さきほど、木村さんは「演じるうえで1本の筋を通す」とおっしゃってましたが、ご自身もそうですか?
木村「何事にも筋を通しがちですね。だから、生きにくいです(笑)。『適当でいいじゃん』ということも、『こうしなきゃ!』みたいな気持ちがあって。でも、人として女優として、揺れていたらやりにくい。芯を持っている方が、キチンと立っていられると思います」
連続ドラマW『石の繭』は8月16日スタート(毎週日曜 22:00~ 全5話 第1話無料放送)。
木村文乃(きむら ふみの)
1987年10月19日生まれ。東京都出身。AB型。映画『アダン』(06年)のヒロインオーディションで女優デビュー。2011年、携帯電話のCMなどをきっかけに出演作が相次ぐ。2015年は、TBS系『マザー・ゲーム~彼女たちの階級~』で初の連続ドラマ主演を果たしたほか、『くちびるに歌を』、『イニシエーション・ラブ』、『ピース オブ ケイク』などの映画に出演。
青木崇高(あおき むねたか)
1980年3月14日生まれ。大阪府出身。AB型。映画『マッスルヒート』(02年)で俳優デビューし、NHK大河ドラマ『龍馬伝』や『平清盛』、映画『るろうに剣心』シリーズに出演。2015年は、『FOUJITA』、『S -最後の警官- 奪還 RECOVERY OF OUR FUTURE』、『ストレイヤーズ・クロニクル』、『王妃の館』など映画にも多数出演している。