大手小売業者らによる業界団体「Merchant Customer Exchange (MCX)」は、その中核サービスであるモバイル決済「CurrentC (カレンシー)」の最初のパブリックベータテストを米オハイオ州コロンバスで間もなく開始するという。現在、同サービスは招待制の限定テスト中となっており、利用可能店舗とユーザー枠が一気に拡大することになりそうだ。ただし、CurrentCの技術とスタンスを巡っては現在も議論の的となっており、Apple PayやGoogle Wallet (Android Pay)など複数のウォレットサービスが出現するなか、その位置付けや動向に注目が集まっている。
間もなく一般テスト開始のMCXの「CurrentC」とは
同件は関係者の話としてWall Street Journalが8月11日(米国時間)に報じている。MCXはWal-Mart StoresやTargetなど大手小売業者らが集まって設立した業界団体。現在は小売店ごとにばらばらに存在するストアカード(ポイントカード)や決済システムを共通化し、互いに融通し合いつつ、顧客がスムーズに決済を行える環境作りを目指している。
そのMCXがスマートフォンなどスマートデバイスを使って簡単に顧客が決済できるサービスとして最初に打ち出したのが「CurrentC」で、クラウド側で顧客情報をセキュアに保管しつつ、QRコード方式でどの店舗や端末でもスマートデバイス内のアプリを使っての決済が可能な仕組みとなっている。
アプリそのものはすでに配布されているものの、サインインにはCurrentC側の招待状が必要で、実質的にクローズドなベータテスト段階にある。WSJによれば、米コロンバスでのパブリックベータは対象店舗を絞った形態でのサービス開放とのことで、不完全ではあるものの初めての一般公開といえるだろう。
同種のサービスに、Apple PayやGoogle Walletがある。間もなく正式ローンチされるAndroid PayやSamsung Payも含めれば、CurrentCなど、このようなサービスは「モバイルウォレット」と呼ばれ、クレジットカードなど決済に必要な情報がスマートフォン(あるいはクラウド上)に保管され、実際にクレジットカードや現金が入った財布を取り出さずとも店頭やWeb上で決済が行える。