日本銀行は12日、7月14~15日に開催した金融政策決定会合の議事要旨を発表した。それによると、物価の見通しについて、委員から「急速に上昇することは想定し難い」といった慎重な意見が複数出ていたことがわかった。

低成長率や値上げの影響を指摘

消費者物価(生鮮食品を除く)の先行きについて、多くの委員は、4月の展望レポートでの見通しに概ね沿って推移するとの見方を共有。これらの委員は、原油価格下落の影響が薄れるに伴い、「物価目標2%」に向けて上昇率を高めていくとし、目標達成期間は2016年度前半頃になると述べた。

これに対し、1人の委員は、1%台の成長率や1%未満の賃金上昇率のもとでは、「人々の中長期的な予想物価上昇率が急速に上昇することは想定し難い」とし、中心見通しよりも慎重な見通しを示した。また、別の1人の委員は、足元の需給ギャップの改善ペースが緩やかであることや、日用品の値上げが家計の消費スタンスを抑制することで値上げの動きが抑えられる可能性などを指摘し、「中心見通し対比慎重な見通しは不変である」と述べた。

中国経済については、「総じて安定した成長を維持しているが、構造調整に伴う下押し圧力を背景に成長モメンタムは鈍化している」との認識で一致。中国における最近の株価下落については、多くの委員が「影響は限定的」と述べた一方、別の複数の委員は「不確実性が高く、注視していく必要がある」との見方を示した。