日本企業の進出が目ざましいASEAN諸国。その中でもインドネシアは、2012年に設立または操業を開始した新規進出現地法人数が中国に次いで2位と、タイやベトナムを上回った。そんなインドネシアの首都ジャカルタで、日本人ビジネスマンを住まい提供の面から支えるのが日系不動産会社の「タケヤ・コンサルティング」。今回は同社で、女性副社長として働くブンガさんに話を伺った。
■これまでのキャリアと今の仕事について教えてください
ジャカルタ生まれのジャカルタ育ちです。大学では戦略的マーケティングで修士号を取得しました。大学入学前から日本語の語学学校に通っていたこともあり、学生時代はインターンも経験。卒業後の2008年に、現在勤めている日系不動産会社のタケヤ・コンサルティング社にマーケティングスタッフとして入社しました。ジェネラルマネジャーなどを経て、現在は副社長として働いています。
当社は日本人に特化した賃貸アパート仲介を行っており、在住日本人の間では「メゾン・マップ」の名前で親しまれています。物件の紹介だけでなく、インターネットテレビの設置・メイドさんの手配・引っ越し後の修理対応など、住居に関わるあらゆるサービスを提供しており、スタッフは35名です。
入社当時は日本人のお客様にお部屋を案内するのが主な仕事でしたが、現在はマンションのオーナーさんと結ぶ契約書の作成や、毎月の実績管理が主な仕事になってきました。当社と契約を頂いているお客様に、より快適なジャカルタライフを過ごしてもらえるよう日々邁進しています。
2年前に子供を出産しましたが、生後1カ月からベビーシッターを雇い、3カ月から職場復帰。復帰後しばらくの間は職場で数時間おきに搾乳し、ベビーシッターが子供に与えられるよう家に持ち帰って冷凍保存していました。産後数カ月で復職するインドネシアでは、これもあまり珍しいことではないんですよ。
■現在のお給料はどうですか?
社内での肩書が上がるにつれて、お給料も高くなりました。仕事内容にも、お給料にも不満はありませんが、将来は自分で会社を設立したいという夢があるので、あえて100%の満足ではないと言っておきます。
■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?
当社のお客さまは95%が日本人。残り5%もシンガポールやイギリスなど外国人の方です。英語や日本語は学校で勉強しましたが、実際に異なる国の方々とお話しすると、知らなかったボキャブラリーや表現を知ることができ、大変勉強になります。また、異なる文化から多様な考え方を学ぶことができる点も、現在の仕事で気に入っているところですね。
■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?
どんな職種でも、嫌なことや辛いことはあると思いますし、それを改善したり良い方向にもっていくことが仕事だと思うので、特に不満は感じていません。ハプニングがあった時も、チャレンジングな出来事が起こったと考えて前向きに取り組みます。
確かに、お客様の中には無謀とも思える要求をされる方もいらっしゃったし、理不尽なことで怒られた経験もあります。でも、色々な考え方の人がいるからこそ世界は面白いし、自分の力も育まれる。そう思いませんか?
■日本人のイメージは? あるいは理解しがたいところなどありますか?
約8年間日本人のスタッフやお客様と接して、みんな仕事熱心で時間を守り、頭の回転が速いと感じています。またアパートの引き渡し時などに今でも感心してしまうのが、その綺麗さです。
インドネシアでは、家の掃除はメイドさんを雇ってやってもらうのが一般的。日本人でもメイドさんを頼む方もいらっしゃいますが、外国人の方と比較すると、その率は低いように感じます。その理由の1つは、日本では小さな頃から自分たちで学校の教室を掃除するからだと聞きました。生徒自身による教室清掃は、現在サウジアラビアなど世界中の国で注目され学校教育に取り入れられているそうですが、インドネシアも見習わなければならないことだと思います。
■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?
ジャカルタではいろいろな日本のイベントを体験することができますが、一番好きなのは「縁日祭」です。年に1度開催され、日本のお祭りのような出店も沢山出ますし、お神輿かつぎや、エイサーのパフォーマンスもあります。ジャカルタに住む日本人の方も毎年楽しみにされていますが、ジャカルタ人にも日本の味や文化が体験できると大人気です!今年は息子を連れて行きましたが、彼も大喜びでした。
■ちなみに、今日のお昼ごはんは?
今日のお昼は、ガンダリアシティという大きなショッピングモールでベベ・ブンギル(クリスピーダック)を食べました。値段は大体15万ルピア、1,400円くらいです。このショッピングモールには、丸亀製麺など日本食レストランも多数入っているんですよ。
■休日の過ごし方を教えてください
日曜日はお客様のアテンドなど仕事が入っているため、その他の曜日で週に2日休みを取ります。休日は2歳になった息子と一緒に遊びに行きます。ショッピングモールでご飯を食べたり、一緒にウォーターパークに行って泳いだりすることが多いですね。
ムスリムが多いインドネシアでは、ラマダン(断食月)が明けるとイドゥル・フィトリという長期休暇がありますが、最近はその休みで海外へ旅行に出かけます。日本へも何度か訪れていて、今年は3月末から4月にかけて東京へ行きました。ラッキーなことに桜を見ることができ、とても感動しました!
■将来の仕事や生活の展望は?
今の会社をもっと大きく、有名にすることで多くの日本人の方に利用して頂きたいです。そうすることで、日本からインドネシアへの投資が増え、国が豊かになることにもつながると思います。
それとは別に、近い将来自分で会社を持ちたいという夢もあります。起業家として、そして働く母親として成功を収め、今よりももっと大きな家に住んで、沢山の国に行って自分の知見を広げたいです。