東武鉄道は10日、JR北海道所有の蒸気機関車C11形207号機を借り受け、約50年ぶりとなる蒸気機関車(SL)復活をめざすと発表した。2017年度をめどに、鬼怒川線下今市~鬼怒川温泉間で運行予定としている。
同社は「東武グループ中期経営計画2014~2016」の基本戦略「観光戦略の展開」の中で、「日光・鬼怒川地区等沿線観光地の活力創出」を掲げていた。その有力な選択肢として、北海道新ひだか町の協力を得てC11形207号機を借り受け、1966年以来となる蒸気機関車の復活をめざすことになった。
同社の蒸気機関車は1899(明治32)年から導入され、1966(昭和41)年6月26日、佐野線における蒸気機関車さよなら運転をもって全廃されている。今回借り受ける蒸気機関車の同型機(C11形2号機)も1945年に導入され、1963年まで活躍していたという。
蒸気機関車C11形207号機は1941(昭和16)年12月26日に日立製作所笠戸工場で製造され、1974年に廃車されるまで、一貫して北海道で活躍した。旧静内町(現在の新ひだか町)で静態保存された後、2000年からJR北海道が動態保存機として使用開始し、「SLニセコ号」を中心に「SL冬の湿原号」「SL函館大沼号」などにも使用された。
蒸気機関車の復活により、車両をはじめとする鉄道産業文化遺産の復元・保存が可能となり、鉄道に乗車することを目的とした鉄道事業者ならではの施策も実施すると東武鉄道。「日光・鬼怒川地区の交流人口創出や沿線活性化を図り、ひいては栃木・福島エリアの支援活性化の一助となることをめざす」と発表している。