財務省は10日、2015年6月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は5,586億円の黒字となった。黒字は12カ月連続。前年は3,639億円の赤字だった。

旅行収支、知的財産権等使用料は6月として過去最大

貿易・サービス収支は687億円の赤字で、2カ月ぶりの赤字。赤字幅は前年同月より6,915億円縮小した。貿易収支が黒字転化し、サービス収支が赤字幅を縮小したため、赤字幅は縮小した。

2015年6月経常収支(出典:財務省Webサイト)

貿易収支は1,026億円の黒字で、3カ月ぶりの黒字。前年は5,463億円の赤字だった。海外景気の緩やかな回復などを背景に輸出が持ち直していることや、原油の輸入額が減少したことなどから、黒字転化した。

輸出額は前年同月比3,435億円(5.6%)増の6兆4,563億円と、2カ月ぶりの増加。輸入額は同3,054億円(4.6%)減の6兆3,537億円と、6カ月連続で減少した。

サービス収支は1,714億円の赤字で、2カ月ぶりの赤字。赤字幅は前年より427億円縮小した。旅行収支の黒字額が6月として過去最大、単月としても過去2番目を記録したほか、知的財産権等使用料の黒字額も6月として過去最大となったことなどから、赤字幅は縮小した。

第1次所得収支は6,569億円の黒字で、黒字幅は同2,110億円(47.3%)の拡大。直接投資収益が増加したことなどから、黒字幅は拡大した。第2次所得収支は296億円の赤字で、赤字幅は同200億円縮小した。

上半期の経常収支は8兆1835億円

同省は併せて、2015年上半期の国際収支を発表。それによると、上半期の経常収支は8兆1,835億円の黒字となり、2期連続の黒字となった。前年同期は4,977億円の赤字だった。

貿易・サービス収支は1兆2,943億円の赤字で、赤字幅は前年同期比6兆3,995億円縮小した。

貿易収支は4,220億円の赤字で、赤字幅は同5兆7,794億円縮小。原油の輸入額が減少したことや、海外景気の緩やかな回復などを背景に輸出が持ち直していることなどから、赤字幅は縮小した。

輸出額は同2兆974億円(5.9%)増の37兆8,247億円で、5期連続の増加。輸入額は同3兆6,820億円(8.8%)減の38兆2,467億円で、11期ぶりに減少した。

サービス収支は8,723億円の赤字で、赤字幅は同6,201億円縮小。旅行収支の黒字額が過去最大となったほか、知的財産権等使用料の黒字幅も同じく過去最大を記録したことなどから、赤字幅は縮小した。

第1次所得収支は10兆5,114億円の黒字で、黒字幅は同2兆1,766億円(26.1%)拡大。第2次所得収支は1兆336億円の赤字で、赤字幅は同1,051億円縮小した。