無線LANの設定では、必ず「暗号化」「セキュリティ」といった項目があるが、よくわからないまま初期設定で使っている人も多いのではないだろうか。なぜ無線LANにはセキュリティが必要で、どれを選べばいいのだろうか?

どうして暗号化が必要なの?

無線LANは2.4GHz帯や5GHz帯といった、無線免許の要らない帯域を使ってデータをやり取りする技術だ。電波は目には見えないが、計測機器類を使えばその帯域を使っていることがすぐにわかるし、光線のように直線で到達しているものではないため、電波さえ届いていれば、どこでも同じ電波を拾う(傍受する)ことができてしまう。

電波の傍受というのは、いわばスマホの画面を電車で隣の人が覗き込んでくるようなものだ。何をしているのか、誰とどんなメッセージを送っているのかなどが丸見えになってしまう。大したことでなければ見られても気にしないという人もいるだろうが、中には見られては困るような情報もあるだろう。

無線LANの電波を傍受された場合は、今見ているウェブサイトや送受信したメールの内容なども、すべてパケット単位で丸見えになってしまう。もしその中に社外秘の情報や、住所氏名といったプライバシー情報、クレジットカードの番号などが入っていたらどうなるだろうか。こちらからは傍受している相手が誰か、あるいはそもそも誰かに傍受されているかどうかを確認する手段すらないのだ。

そこで、無線LANの上を通るデータは、送る前に一度暗号化して、それを受け取った無線LANアクセスポイント(ルーター)側で復号化し、傍受されても大丈夫なようにしよう、というのが、無線LANセキュリティの基本的な考え方だ。先ほどのスマホの画面の例でいえば、何を見ているかわからないよう、覗き込み防止機能付きの画面カバーをつけよう、というわけだ。