多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、「どうして端末によりAndroid 5.0対応の違いが出るの?」という質問に答えます。

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Android端末は、Google主導で開発したシステムソフトウェア(OS)を端末ベンダーそれぞれがカスタマイズをくわえる、という流れで生み出されます。OSのアップデート計画はGoogleが策定するもので、メーカーに対し数年先の具体的な開発スケジュールが確約されるわけではありません。

そしてAndroid OSは、他のスマートフォンOS、具体的にはiPhoneに採用されている「iOS」との激しい機能競争に晒されています。スマートフォンはハードウェア面の進歩にも著しいものがありますが、OSが高い処理性能やセンサー類のサポートを要求するため、発売から短い期間で陳腐化してしまいます。Apple単独でOSから端末の仕様までコントロールできるiPhoneと比較すると、複数の企業を横断するためOSとハードウェアの開発ロードマップを同期させにくいAndroidは、どうしても長い利用期間を見据えた端末開発が難しくなります。

メーカー/端末によりAndroid 5.0対応が異なることは、まさにそのような背景が影響しています。Googleが開発したOSをただ移し替えればいいのではなく、過去にメーカー独自/端末単位でくわえたカスタマイズとの整合性をとらねばならず、収録したアプリの互換性も考慮しなければなりません。旧バージョンのOSに最適化されたハードウェア上で新バージョンのOSを支障なく動作させるためには、相当な時間とコストが必要になります。

仮に新バージョンのOSが動作したとしても、ユーザ体験を低下させないレベルでのパフォーマンスを実現できるかどうかは別問題です。身近にあるぶん軽快な操作性が重視されるスマートフォンですから、機能向上したものの反応が緩慢になる、という事態はユーザの満足度を低下させかねません。Android 5.0対応が端末で差があることは、両者を天秤にかけたメーカーの判断なのです。

メーカー/端末により「Android 5.0(Lollipop)」の対応に差がある理由は?