光熱費も、食費も、外食費も。あれこれ節約して、もうこれが限界! という人も少なくないでしょう。楽しみながら節約できるなら問題ありませんが、無理な節約が続くと精神的なストレスがたまり、リバウンドする可能性もあります。それでも、あと1万円ぐらい貯蓄に回せたらと考えている人向けの節約法をお教えします。
ストレスをためない節約は、1回で持続可能な節約法
家計は、毎月必ず決まったお金がでていく「固定費」と、食費や光熱費など使い方によって変動する「変動費」に分けることができます。
節約というと食費や光熱費を思い浮かべますが、これまで月4万円かかっていた食費を3万円にしようとすると、ビールは2日に1本、おかずを1品減らす、豚肉はロースじゃなくてバラ肉、フルーツは高いから我慢というように、節約によって食生活のグレードがダウンしがち。本来は食材を上手に使い回す、我慢するところと譲れないところのメリハリをつけることが大事なのですが、なかなかうまく行きません。光熱費も同じで、エアコンも使うべきときに使わず我慢していると、部屋にいて熱中症にかかってしまうという本末転倒なことが起きてしまいます。
こうした節約は1度だけではなく、毎月、毎日のことなので、節約を楽しんでやれない限り、節約疲れを起こしてしまいます。
では、どのような節約がストレスを感じることなく、持続可能なのでしょうか。それは「固定費」の節約です。
固定費とは、住宅ローンや家賃、生命保険料、子どもの習い事、新聞代、携帯、スマホの通信費など、ほぼ毎月決まった額の出費のこと。こうしたお金は自動引き落としや口座振替で支払うことが多く、一度契約してしまうと、見直しをすることがほとんどないのです。逆に、一度でいいから見直しをしてしまえば、あとは毎月あれこれ考えることも、何度も見直しすることも必要ない出費と言えるのです。
もしも、携帯やスマホの通信費が高いと感じていたら、ショップなどで契約の見直しを相談することから始めてください。今はSIMフリーでさらに通信費を安くすることもできます。身近に詳しい人がいたら、聞いてみるのもいいでしょう。これだけで、月5000円近くは節約できることもありますから、やってみる価値は大いにあります。
住宅ローンは見直しの筆頭候補
節約効果がもっとも高いのが、住宅ローンや家賃などの住居費。家賃に関しては、引っ越しなど手間がかかり、簡単に安い賃貸住宅に住み替えればいいと言うわけにはいきません。それでも、現在の家賃負担が給料の3分の1以上かかっているようなら、早目の住み替えも視野に入れてください。
住宅ローンに関しては、最近組んだばかり、という場合には、なかなか難しいのですが、5年程度前に住宅ローンを組んで家を購入した、という場合は、住宅ローンの借り換えで毎月の返済額が減らせるケースがあります。
たとえば、5年前に2000万円、35年返済、5年固定金利3.55%で借りた場合、毎月の返済額は約8万3000円。5年固定期間が終わり、再び、5年固定金利にするのかどうか、そのほかの金利タイプにするのかは、金利状況によるでしょう。しかし、金利差があるようなら、別の金融機関で借り換えも視野に入ってきます。
5年返済後の残債:約1830万円
5年固定継続の金利:3.3%
毎月返済額:約8万800円
現在から約2400円削減になります。
これを、借り換え専用のローンに借り換えると、
30年固定金利:2.29%
毎月返済額:約7万300円
現在から、約1万3000円の削減に。
ただし、借り換えの際には登記費用や保証料などの諸費用が30万~50万円かかるので、まとまったお金が出ていくのは事実。しかし、借り換えによる節約効果は毎月の返済額だけではなく、総返済額が削減できることにあります。先の例では、約350万円少なく済むのです。
毎月食費のやりくりで頭を悩ますのではなく、こうした固定費を一度見直せば、持続的な節約を可能にすることができます。ぜひ、借りたときよりも有利な住宅ローンがあれば借り換えを検討してみてください。
(※記事中の金利は三井住友銀行の2015年06月の店頭金利。)
(※画像は本文とは関係ありません)
<著者プロフィール>
伊藤加奈子
マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。