「ミニ保険」って聞いたことありますか? あまり耳になじみがないという人も多いかと思いますが、ミニ保険とは正式名称が「少額短期保険」といい、その名のとおり少額で短期間の保障を安い保険料で確保できる保険のことです。保障が小さいならではのメリットを生かして、生損保商品では保障されていない、いろんなリスクを保障する保険があるので、必要に応じて、上手に取り入れてみてはいかがでしょう?

「ミニ保険」って聞くけどどんな保険なの?

ミニ保険は、保険金額が少額で短期間の保障が得られる保険のこと。具体的には、死亡保障なら300万円まで、医療保障は80万円まで、損害保険は補償額1000万円までなどと保険金額の上限があり、また、保険期間も1~2年程度と短くなっています。取り扱っている会社も通常の保険会社ではなく、事業規模が一定以下で、ミニ保険だけを取り扱う少額短期保険事業者と呼ばれる会社が扱っています。事業規模が比較的小さいので、大手の保険会社とは異なる、さまざまなタイプの保険を取り扱っているのが魅力のひとつです。

たとえば、葬儀費用を保障する葬祭保険やペットの医療費を保障するペット保険、旅行中に雨だったら旅行代金が補償されるお天気保険、病気や急な仕事でコンサートへいけなくなったときにチケット代が補償されるチケット保険、トラブルにあったときの弁護士費用を保障する弁護士費用保険など。医療保障の保険も持病がある人や過去に病気などを患ったことがある人が加入できる保険などもあります。

普通の保険と何が違う? どういう人向け?

ミニ保険は、生損保の一般的な保険では、条件が合わずに加入できなかった人でも加入できる保険があるので、何らかの保障を得たいがこれまで保険の加入が難しかった人が検討できる保険です。

たとえば入院したときや手術をしたときに給付金が受け取れる生保の医療保険。現在では病気を患ったことのある人や、糖尿病などの持病がある人でも加入できるものもありますが、うつ病など心の病のある人やダウン症などの発達障害や身体障害がある人は加入が困難な状況です。ミニ保険なら、そのような人も加入できる商品があります。

また、妊娠・出産は女性にとってもリスクが高まり、また公的な補助が出るとはいえ費用もかさみがち。一般の医療保険に加入している場合、帝王切開などでは保険金が出ますが、通常分娩では保障されません。また妊娠した後は医療保険に加入しづらくなるため、保険に加入しないまま妊娠すると無保険状態で出産を迎えるということにもなりかねません。

ミニ保険では、たとえばフローラル共済の「なでしこくらぶ」は妊娠前に加入していれば正常分娩でも保険金が支払われます。また妊娠10カ月まで加入ができ、異常分娩の時には保障されます(妊娠後に加入した場合は正常分娩は保障されない)。一生のうちに何度もないことなので、その時期だけしっかり備えたいという人に向いているミニ保険といえるでしょう。

「なでしこくらぶ」ページ画面(出典 : フローラル共済Webサイト)

そのほかにも最近の地震多発に備えて地震保険に加入したいが、損保の地震保険は高くては入れないという人にミニ保険の地震保険は検討の価値ありです。

さらに大切なペットに万一のときにも十分な治療を受けさせたいと考えている人も増えていますが、ペットの医療費は高額になりがちです。そうした費用を保障するペット保険も多くの事業者が取り扱っています。

加入時の注意ポイントは?

手軽でちょっとした保障を得るのに便利なミニ保険ですが、注意しなければならないこともあります。

ひとつは、破綻した場合のセーフティネットが十分でないという点。一般の保険は、万が一契約している保険会社が破綻した場合には「保険契約者保護機構」の対象となり、保険の種類により保護される範囲が決まっています。ですが、少額短期保険事業者はこの対象外なので、加入している事業者の破綻などにより不利益をこうむる可能性がある点に注意した上で加入する必要があります。このようなリスクを避けるために事業開始時には法務省に1000万円の供託をしており、以後も収入保険料の増加に応じて供託金額を増額することになっていますが、破綻したときにはどれだけ保障されるかはわからないので、加入する際にはその事業者の経営状況なども確認することが必要です。

もうひとつ。通常の生命保険は、支払った保険料に応じて所得税の保険料控除が受けられますが、ミニ保険は対象外です。ですから死亡保障や医療保障など通常の保険で得られる保障で、長期的に必要な保障は、一般的な保険商品に加入したほうが税制面ではおトクとなります。

<著者プロフィール>

ファイナンシャルプランナー 堀内玲子

証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て1993年に独立。1996年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。