――サウンド面でひとつお伺いします。この世界の雰囲気にあったテイストのBGMが作られていますが、そこで使われている「イカ語」は不思議な響きで、サウンドクリエイターの方からは、バトル中のBGMは耳を奪われすぎると集中できないため、この「イカ語」は適しているとコメントがありました。また、「イカ語」のフォントもかなりユニークです。音と文字の面から「イカ語」について解説いただけないでしょうか?
■作・編曲家 ・こおろぎ(32)・男性
■お気に入りのブキ:プロモデラーMG
音楽クリエイターとして、気になったところですが、スプラトゥーンの世界では人間には理解できない「イカ語」が使われています。キャッチーな歌モノでも歌詞が聴き取れないので、対戦中に耳が奪われないところがよいですね。
野上 : 制約的な理由でいうと、全世界で展開するタイトルなので、どこかの言語に固定してしまうとその色が強くつきすぎてしまうので、あえてそこは避けて、聞き取れない言語、読めない文字にしてあります。あの世界の言葉であるという色を強めるために、どの言語にも寄らないようにしました。
――ただ、そんなイカ語のなかでも、お二人がお召しになっているTシャツ(ゲーム中に登場)のように、日本人からすると「いか」と読めるものもあり、比較的読みやすいものから、人間には解読不能なものまで、さまざまな形の文字があふれかえっていて、解読しようとする方もいますね。
井上 : 海外に行くと、日本語の「の」の形が、特に意味なくかっこいいかたちとして看板に使われていたりするんです。イカたちはそういう感覚で、「カタチがかっこよければいいじゃん」みたいな感じで、もとは人間が使っていたデザインをサンプリングしているという設定になっています。
――日本語以外にも、さまざまな言語をサンプリングされたのでしょうか?
井上 : そうですね、そもそも言語体系から違うと思っていまして。われわれと同じような表音文字でもないというか。でも「イカしてるからいいじゃん」みたいな、そういう風なものを表現しようと思ってはいます。
――では解読しようと思ってもなかなか難しいでしょうか?
井上 : 適当、というのを念頭に置いていただけるといいかもしれません。
野上 : そもそも彼らも読めているのかどうか分からないっていうくらい(笑) もしかしたらデザインとして使っているだけかもしれないとか。
井上 : そういう風に意識してつくっています。
野上 : サウンドのほうも、韻というか言葉の響きを大切にしているので、元の歌詞を考えて…というふうにやっているわけではないですね。また、どこの言語にも聞こえないというところを意識しています。
――だとすると完全に空耳かもしれないのですが、シオカラーズがハイカラニュースの中で最後に「シオカラ」と言っているように聞こえて…。
野上 : あ、あそこはもしかしたらシオカラといってるかもしれません。彼女たちのグループ名がそうなので。
井上 : 何か言ってるかもしれないですね。海産物の名前を叫んでいるんですよ。
ちなみに、フェスに向けてプロモーションビデオを作ったのですが、そのときの最初のシャウトは「カキアタッテルー?」といっています
――カキというと、やはり貝の牡蠣ですか?
野上 : 貝の牡蠣に当たったという(笑)
井上 : この世界では牡蠣に当たるのがカッコイイというような。
――つまり我々が思うような嫌な意味ではないということでしょうか?
野上 : はい、嫌な意味では無いです。
フェス向けプロモーションビデオの冒頭~5秒くらいのところを5回くらい繰り返し聞いたところ「カキアタッテルー?」を認識できた(筆者個人の感想です)。
※次のページにはオフラインプレイの「ヒーローモード」のストーリーに関するネタバレが含まれます。ネタバレが含まれるのは4ページ目のみのため、回避したい方は次のページを飛ばしてご覧ください。