スマートフォンの運用コストを節約できる"格安スマホ"(格安SIM)が注目を集めている。格安SIMとは、MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる事業者が、大手キャリアのネットワークを利用して提供する通信サービス。さまざまな事業者が参入し、各社それぞれ特徴のあるサービスを提供しているが、「各社のサービスはどう違うの?」「自分の使い方に向いているサービスはどれ?」などと疑問を感じている読者も多いかもしれない。
そこで本企画では、毎回個別の格安SIMサービスを取り上げ、その特徴を紹介していきたい。今回は、U-NEXTが提供する「U-mobile」について紹介する。
2段階定額制やLTE使い放題プランで格安SIMを提供
映像配信サービス「U-NEXT」を提供することでも知られるU-NEXT。同社が提供している格安SIMサービスがNTTドコモのLTE・3G網に対応した「U-mobile」だ。
同サービスでは、データ通信専用SIMに加えて、090/080/070番号の音声通話に対応する音声SIM、使い切りタイプのプリペイドSIMという3種類のSIMカードを提供している。SIMカードのサイズは、標準SIM/microSIM/nanoSIMから選択可能だ。同サービスの対応端末は、SIMフリー端末およびドコモのスマートフォン・タブレット。なお、動作確認端末は、同サービスのWebページで確認できる。
同サービスの料金プランはデータ専用SIMの場合、通信容量が月間1GBまたは5GBのプランのほか、「LTE使い放題プラン」「ダブルフィックスプラン」の4種類。音声SIMの場合、月間3GBまたは5GBのプラン、LTE使い放題プラン、ダブルフィックスプラン、さらに1年契約の「LTE使い放題2」の5種類が用意されている。通信速度は下り最大150Mbpsで、プランの通信容量を使い切ったときは最大128kbpsに制限される。
特徴としては、高速通信を月間最大3GBまで使え、1GB以下なら安くなる2段階定額制の「ダブルフィックスプラン」、高速通信が使い放題の「LTE使い放題プラン」という他社にはないユニークなプランを提供している点が挙げられる。同社担当者によれば、この2つのプランが同程度に人気であり、両プランのユーザーが全体の8割を占めるという。また、データ専用SIMと音声SIMの比率は同じくらいだが、いわゆる”2台目需要”によってデータ専用SIMの利用がやや多い状況。さらに、音声SIMの3割はMNP(携帯電話番号ポータビリティ)であり、「1台目として選択するユーザーも多い」(同社担当者)ほか、「2台目需要に伴って(音声SIMとデータ専用SIMが)1度に2枚売れることも珍しくない」という。
また、音声SIMのオプションサービスとして、キャッチホン、留守番電話、転送でんわ、国際電話、国際ローミングを用意するほか、専用アプリから発信することで通常の通話料の半額となる10円/30秒で電話がかけられる通話サービス「U-CALL」も提供している。同サービスについて、担当者は「IP電話ではなく、電話回線を使う通話サービスで、海外への通話料も安い」と解説する。また、データ専用SIMのオプションサービスとしては、SMSオプションを用意。
なお、データ専用SIMには最低利用期間は設定されていないが、音声SIMには6カ月(LTE使い放題2プランの場合、12カ月)の最低利用期間が設けられており、期間内に解約した場合、解約事務手数料がかかる。
このほか、SIMカードとスマートフォンのセットプランも提供している。取り扱い端末は、「ZenFone 2」(ASUS製)、「Ascend Mate 7」(ファーウェイ製)をはじめとするSIMフリースマートフォン5機種。ハイエンドモデルからエントリーモデルまで、幅広い選択肢を用意している。同社担当者は「キャリアのスマートフォンは10万円近くと非常に高いが、高性能で安いSIMフリースマートフォンが増えてきている。(U-mobileでは)それを24回の割賦払いで、月額料金に上乗せする形で少ない負担で買える」と説明する。また、「現在はZenFone 2が圧倒的に売れている」とのことだ。
また、同社が提供する光回線サービス「U-NEXT光」とSIMカードをセットで契約することで、料金が割引される「U-NEXT光&スマホ コラボレーション」、家族で契約することでさらにお得な「スーパーファミリーバリュー」という固定・モバイルのセット割も提供している。このセット割は「家庭の光ファイバーと、家族のモバイルをワンストップで提供するもの」で、「たとえば、フレッツ光とキャリアのスマートフォンに月々25,000円程度支払っている家庭の場合、スーパーファミリーバリューでは月々の料金を1万円にできる」(同社担当者)とのこと。
U-mobileのSIMカードは、同サービスのWebサイトのほか、家電量販店などの店舗でも購入可能。さらに、東京・南青山にある直営店の「U-NEXT ストア」、一部地域にある家電量販店やケータイショップでは、MNP転入を含む新規契約の即日開通にも対応している。
U-mobileの特徴とは?
U-NEXTの担当者は、U-mobileの他社サービスにはない特徴として、「LTE使い放題プランとダブルフィックスプランを提供していること」を挙げる。この2プランがあることで、たとえば、「とりあえず、安いダブルフィックスプランを試してみて、『これ使えるな』ということであれば、プラン変更でLTE使い放題プランに移行する」といった使い方が可能になるという。
またU-mobileでは、音声SIM限定で毎月最大600ポイントの「U-NEXTポイント」が付与されることも特徴。同ポイントは、ビデオ配信サービスのU-NEXTで映画を1本視聴したり、電子書籍サービス「BookPlace for U-NEXT」の購入代金に充てるといった使い方が可能。同社担当者によると、「ポイントで動画を視聴した後で、U-NEXTの良さを知り、見放題プランに加入するユーザーも多い」という。また、同社が動画配信サービス事業を手がけていることに触れて「ユーザーにエンターテイメントを届けて、ワクワクさせることが我々の根幹」だとし、「U-mobileを通じて、楽しみを届けたい」とした。
現在、U-mobileのSIMカードの即日受渡しが可能な店舗は全国13店舗(8月5日時点)となっているが、取り扱い店舗を拡大しており、年内に50店舗を目指すという。同社担当者は、実店舗のメリットとして、「実際に端末を手にとって選んでいただける」ことを挙げ、さらに「格安SIMの初心者も圧倒的に多いので、実際に販売している人の声を聞いて不安を払拭できる」と説明。また、直営店のU-NEXT ストアでは「端末の初期設定に加えて、(ポイントで視聴できる)U-NEXTの設定まで行っている」と述べ、サポートの手厚さもアピールする。
同社では現在、販売パートナーと組んで端末代が実質無料になるキャンペーンを実施している。今後も同様のキャンペーンを展開していく予定だが、同社担当者は「瞬間的なキャンペーンのためにサービスを作っているわけではなく、あくまでサービスを知ってもらう、良いものだと理解してもらうためにキャンペーンを展開していく」と強調。「モバイルの通信サービスを今後も誠意をもってユーザーに届けたい」としている。