発症リスクトップ5を発表! - 1位はなんと4.03倍

さて、ここからは「MYCODE」によって判明した、筆者の疾患発症リスクを発表しよう。全150項目もあるので、ここではリスクの高い順にトップ5をランキング形式でご紹介する。

筆者の「疾患発症リスク」トップ5

第1位: もやもや病

  • 発症リスク: 4.03倍
  • 論文評価レベル:3
  • 全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中13人

2位に大差を付けて見事(?)1位になったのは「もやもや病」。「もやもや病」は脳の動脈が何らかの原因で細くなったり詰まったりする疾患で、太い動脈の閉塞を補って血流量を保つために拡張した細い血管の血管網が、煙がもやもやしているように見えることが病名の由来となっている。

第2位: 1型糖尿病 末期腎不全

  • 発症リスク: 2.62倍
  • 論文評価レベル:2
  • 全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中1人

「1型糖尿病」は血液中のリンパ球が、インスリンを作るすい臓のランゲルハンス島にあるβ細胞を攻撃して炎症を起こし、すい臓自らインスリンを分泌できなくなることで発症する自己免疫疾患。

第3位: 脳血管性認知症

  • 発症リスク: 2.33倍
  • 論文評価レベル:2
  • 全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中13人

「もやもや病」と同じ脳血管の疾患が3位に。「脳血管性認知症」は脳梗塞をはじめ脳血管障害によって発症する。記憶、言語、ものごとの認知などに関係する海馬や大脳皮質の神経細胞が脳血管障害により死んでしまうことが原因とされている。根本的な治療はなく、脳血管障害の進行を防ぎながら、症状を抑える治療を実施する。

第4位: 心房細動

  • 発症リスク: 2.17倍
  • 論文評価レベル:3
  • 全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中9人

ここまでが2倍超え。「心房細動」は高齢者に多く見られる疾患で、心臓のリズムを調節する電気信号が何らかの原因で乱れて心臓本来の動きができなくなり発生する不整脈の一種。

第5位: 胃がん(噴門部胃がん)

  • 発症リスク: 1.98倍
  • 論文評価レベル:3
  • 全体を100人とした時、同じ遺伝子型の人数: 100人中4人

胃の入口にあたる部分(噴門部)にできるがんの一種で、食道胃接合部腺がんとも呼ばれる。噴門部がんはあまり多くはなく、胃がん全体の1~2割程度といわれている。また、胃酸の逆流が発症に関係している可能性がある。

遺伝子検査で疾患の発症リスクを知ることのメリット

今回の結果は個人的にかなり意外だった。というのも、筆者はがん家系なので、何かしらのがんが1位にくると予想していたのだ。また、1位に「もやもや病」、3位に「脳血管性認知症」と、脳血管の疾患が上位に入ったことに遺伝子の力を感じた。

一方、トップ5には入らなかったが、8位に胃がん(1.62倍)、10位に前立腺がん(1.49倍)が入っていたのでがんに注意しなくてもいいというわけではない。そもそもがんは、日本人の死亡理由1位に長らく君臨しているわけで、この場合「(がんの中では)自分は胃がんのリスクが高いんだな」と認識できたことに価値があるのだ。

「脳の血管が弱い」「がんでは胃がんに特に気をつけよう」などは、「MYCODE」を受けて初めて気づいたことだ。唾液を採取するだけというシンプルな作業で、思いもよらなかった疾患への注意が喚起され、結果を生活改善の指針として病気の予防に活用できる点は、遺伝子検査の大きなメリットといえるだろう。