損保ジャパン日本興亜ホールディングス(以下SOMPOホールディングス)は7月31日、東南アジアで展開する天候インデックス保険(※1)が、国連開発計画(以下UNDP)が主導する「ビジネス行動要請(以下BCtA)」(※2)に承認されたと発表した。これは天候インデックス保険が、商業活動と持続可能な開発を両立するビジネスモデルとして評価されたものだという。日本の金融機関として初、世界の損害保険会社として初の承認になるとしている。
(※1)天候インデックス保険とは、気温、風量、降水量、日照時間等の天候指標が、事前に定めた一定の条件を満たした場合に定額の保険金額を支払う保険商品で、近年深刻化している気候変動に対する適応策として、気候変動の影響を受けやすい発展途上国の農業セクターを中心に注目を集めている。 (※2)ビジネス行動要請(BCtA:Business Call to Action)とは、2008年に発足した国連開発計画(UNDP)を中心に6つの開発機関・政府が主導する、長期的視点で商業目的と開発目的を同時に達成できるビジネスモデルの構築を促進する取組み。UNDP、米国国際開発庁(USAID)、英国国際開発省、スウェーデン国際開発協力庁、フィンランド外務省、オランダ外務省が主導し、国連グローバル・コンパクト、米州開発銀行(IDB)、国際金融公社(IFC)と連携して推進されている。
タイやミャンマーなどで天候インデックス保険を販売
SOMPOホールディングスは、タイ東北部の干ばつによる農業従事者の被害に伴う損害を緩和するため、天候インデックス保険を2010年から販売している。2012年に干ばつが発生した際に、加入者の80%以上の農家に保険金を迅速に支払った実績が現地で高く評価された結果、現在ではタイ東北部の20県まで販売対象範囲が拡大しているという。また、ミャンマーの中央乾燥地帯の米農家とゴマ農家を対象に、干ばつリスクに対応した天候インデックス保険を2014年12月に開発。 一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)と共同で、人工衛星観測データから推定された雨量をインデックスとして活用した保険であり、日本初の開発事例としている。
グループ全体としての持続可能性への取組みとして長年にわたりCSRに注力してきた歴史、国連関連機関を含む各種イニシアティブへの積極的かつ継続的な貢献等に加え、気象データが未整備な途上国において開発の拡大が期待される、リモートセンシング技術を応用した新たな保険商品の開発に向けての取り組みが、災害に脆弱な小規模農家の強靭性を高める新たな試みとして高く評価されたという。また、丁寧な商品説明会を開催することにより、途上国の低所得層の人々に金融・保険に関する知識を提供している取り組みも高く評価されたとしている。
SOMPOホールディングスは、BCtAの承認を得、今後も東南アジアにおいて自然災害リスクに直面する農家に天候インデックス保険を広く提供していくという。また、リスクに脆弱な社会層へのソリューションの提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献すると共に、グループ全体の持続可能な成長を目指していくとしている。