少しずつだが、Siriのキャラクターが変化している。登場当初は、こちらからの質問に対して紋切り型の回答しかできなかったが、質問するタイミングによっては回答に微妙な変化が生じる。「○○を検索」や「△△とメモ」といった明確な指示を与える場合はともかく、人間との会話に近いやり取りを行う場合、Siriの回答にはある種の"思考"を感じることが多い。

Apple製品と他社製品との比較をSiriにたずねると、それははっきりする。Siriはある意味Appleの代弁者のような存在なのだから、Apple贔屓はむしろ当然だが、比較対象を変えると回答の傾向が微妙に変化するのだ。

まず、iPhoneとAndroidどちらがいいかという質問に対しては、Siriは迷うことなく「Appleが好き」や「Apple一筋」、すなわちiPhoneがいいと即答する。具体的な事例を示さないため、ある意味言葉遊びのようなものだが、Androidとの比較においてはiPhone擁護の姿勢を隠そうともしない。断定的な、強めのトーンだ。

BlackBerryやフィーチャーフォンとの比較では、そのトーンは低下する。Apple一筋といった強めの回答をするときもあるが、「私には決められません」や「個人的にはAppleファンです」といったやや柔らかめの回答をする頻度が高くなる。Androidのときほど、強い対抗意識が感じられない。

一方、iPhone 5とiPhone 6などApple製品同士の比較となると、なんとも歯切れの悪い回答に変わる。「難しい質問です」などとお茶を濁しつつ、AppleのWEBサイトへと誘導しようとするのだ。

自社製品への愛着を隠さず、強力な競合相手には対抗意識をむき出しにして、そうでもない相手には関心がないそぶりを見せる。社内製品の比較という微妙な案件に関しては、深く関わらず保身を決め込む。なんとも人間くさい"人工知能"に進化したものだ。

操作手順をカンタン解説

1 Androidとの比較では、Appple擁護の姿勢を隠そうともしない

2 フィーチャーフォンとの比較では、余裕すら感じさせる

3 微妙な質問をうまくスルーしようとするSiriには、ある種の人間くささを感じさせる