構内踏切は奥津軽いまべつ駅にあり
奥津軽いまべつ駅にしろ湯の里知内信号場にしろ、もともと狭軌の「津軽海峡線」として使っていた施設を改築している。中央を一直線に通り抜ける一等地を新幹線のために明け渡して、その両側に狭軌の線路を増設した形だ。
そして奥津軽いまべつ駅の場合、場所が既存の津軽今別駅と同じ場所なので、津軽今別駅の営業は続けなければならない(といっても、一日に上下それぞれ2本ずつの列車しか止まらないのだが)。北海道側の知内駅は2014年3月15日に廃止されたので、とりあえず線路さえあればよいが、津軽今別のほうはまだ営業しているので、乗降用のプラットフォームが必要である。
というわけで、津軽今別駅の現在の構造は、中央に新幹線の奥津軽いまべつ駅が姿を現し、その両側に在来線の線路が1本ずつある。駅の入口は下り線側にあるから、上りホームにアクセスするために構内踏切が設けられている。なんと、建設中の新幹線の線路を横断する構内踏切(!)になっているのだ。
実際に現地を訪れてみると、津軽今別駅に上がる階段を出たところから右手に、下りの仮設ホームがある。そこから左に行くと問題の構内踏切があり、新幹線の線路を3本(上下本線と下り副本線)を横断する。その先に上りホームと小さな待合室がある。
もちろん、その構内踏切から新幹線の駅施設を眺めることができるし、反対側を見ると北海道に向かう新幹線の線路がドーンと延びている。
8月10日から通過できなくなる構内踏切
ただし、新幹線の試運転が追い込みにかかると、試験に要する時間帯が広がるので、従来のように「夜間だけ構内通行止」とは行かなくなる。また、在来線の線路は上下1本ずつあるが、新幹線開業までにそれぞれ1本ずつ増設しなければならない。現在はそのためのスペースに仮設ホームがあるので、仮設ホームを撤去しないと在来線の線路増設ができない。
このような事情により、津軽今別駅は8月10日から全列車が通過扱いとなる。通過扱いになれば仮設ホームも用済みになるので、それを撤去して在来線の線路を増設する形になるわけだ。すると、建設中の新幹線の線路を公然と歩いて横断できるというユニークな構内踏切は、あと10日たらずで消滅する。訪れるなら今のうちだ。