夏休みの自由研究に最適な、親子で学べる無料体験型イベントを紹介しよう。カシオ計算機の創業者の一人、故・樫尾俊雄氏の旧邸宅(東京都・世田谷区)を改装した「樫尾俊雄発明記念館」にて、特別展示「デジタルってなに?」が7月31日~8月28日の期間限定で開催される。

1回あたりの定員は5組、先着順で完全予約制。期間中の8月7日と8月21日には、電卓組み立て教室も実施する。今回、一般公開に先駆けて地元、世田谷区立明正小学校の児童14名と先生たちが招待されたので、その模様を写真でお伝えしよう。詳細は樫尾俊雄発明記念館のWebサイトでご確認いただきたい。

樫尾俊雄発明記念館は、小田急線の成城学園駅から徒歩15分ほど

隣接する「発明の杜市民緑地」

庭の樹木を含め830坪、緑豊かな邸宅のエントランスに入ると、吹き抜けに大きなシャンデリア。子供たちがワクワクした笑顔で見学会の開始を待つ。

子供たちに挨拶する樫尾隆司氏

樫尾隆司氏は、明正小学校のOB。子供たちの先輩だ

冒頭、カシオ計算機の執行役員で同記念財団の理事長も務める樫尾隆司氏が簡単に挨拶。明正小学校のOBであることが告げられ、和やかな雰囲気でツアーが始まった。

しっかりメモの準備

「デジタル」・「アナログ」について解説

「0」と「1」でコンピュータは計算

ICについても勉強

樫尾俊雄氏の写真の前で学ぶ

いよいよ「発明の部屋」へ移動。発明の部屋には、カシオ兄弟が発明した世界初(1957年)の小型純電気式計算機「14-A」が鎮座する。14-Aは現在の電卓では当たり前の「テンキー」を日本で最初に使った記念すべき製品。子供たちは輝いた目でメモを取っていく。

発明の部屋

世界初の小型純電気式計算機「14-A」

14-Aは、何と完全動作品

【動画】14-Aの動作
※音声が流れますのでご注意ください

デジタルの仕組みをメモ

14-Aの背面に並ぶキーデバイス「リレー」。341個あるという

隣接する「数の部屋」では、まず「そろばん」について説明。

「昔は計算にそろばんを使っていたんだ」子供たちみんな、そろばん未経験者だった

電光管をつかった計算機「AL-1000」。こちらも稼働品

計算機の小型化に驚く

1957年の14-Aは重さが140kgだったが、1983年のカード型電卓「SL-800」は何と12gしかない

階段を下り、かつて寝室だったという「時の部屋」へ。ここでは、時計が動く仕組みについて学習。カシオ製の時計が数多く展示され、男子たちはG-SHOCKについて盛り上がる。みんなカッコいい時計が好きなんだ。

通路にも樫尾俊雄氏を感じる

砂時計とストップウォッチで正確さを比較

初代G-SHOCK(DW-5000C)について解説する樫尾隆司氏

G-SHOCK(DW-5000C)

隣の「音の部屋」では、カシオの電子楽器「カシオトーン201」をはじめ、複数ユニットを組み合わせて使うコンポーネントタイプの電子楽器「シンフォニートロン8000」など多数が展示されている。

大人気だ

電子キーボードやデジタルギター、電子管楽器などを展示

「創造の部屋」では、最新の電子辞書やデジタルカメラと、昔からの辞書や写真機との比較を体験。

電子辞書の豊富な内容に驚く

直感的に電子辞書を使いこなす。さすが今どきの小学生

カメラの原理に興味深々

1946年、カシオの基礎を築いた最初の発明「指輪パイプ」(レプリカ)

以上、全体で約1.5時間の見学が終了。2年生~6年生が参加していたが、みんな興味深く熱心にメモを取りながら見学していた。また、かつては樫尾俊雄氏のご自宅だったこともあり、各所に発明家・樫尾俊雄氏の「息づかい」を感じることができ、見ごたえある内容だった。

電卓組み立て教室

続いて「電卓組み立て教室」の体験だ。場所は2階の和室へと移る。まずは完成品の電卓を分解。内部構造を確認したうえで、再び組み立てるという流れだ。

冒頭は、カシオ製品の紹介や電卓に歴史について振り返る

分解は、ネジをゆるめるところから

全員で一緒に作業を進めていく

電卓を分解完了

内部構造を学習

組み立て手順も分かりやすく解説

低学年も果敢にチャレンジ

真剣!!

最後は検算して合っていれば、組み立て完了。全員ができた

でき上がった電卓で、マジックに挑戦

マジックに夢中だ

約1時間かけて「電卓組み立て教室」が終了

お疲れ様! みんなに記念品の電卓がプレゼントされた

記念スタンプも押してもらえるぞ

電卓組み立て教室では、電卓の仕組みや使い方、さらにマジックまで分かりやすく解説。低学年から高学年まで、全員で楽しみながら学習できた。5組限定と少人数で体験学習できるのも魅力だろう。

幼いころ、エジソンに感動して発明家を志し、日本を代表する発明家となった樫尾俊雄氏。「必要は発明の母」ではなく「発明は必要の母」という強い信念を持ち、生涯創造と発明を続けた、まさにその場所。この夏、親子で訪ねてみてはいかがだろうか。