今秋リリースが見込まれている次期iPhoneについて、持ち上がっては消えという噂が1つある。それが「4インチ版iPhone」だ。iPhone 6とiPhone 6 Plusがリリースされて以降、それまで3.5~4インチの比較的小型サイズだったiPhoneは一気に4.7~5.5インチと画面サイズが拡大し、4インチでの継続を希望するユーザーは旧モデルを利用するしかなかった。海外での報道によれば、Appleは次期モデルで当初4インチ版を計画していたものの、最終的に計画を断念したという。
同件はBusiness Insiderが、Cowen and CompanyのアナリストTimothy Arcuri氏の情報として伝えている。それによれば、Arcuri氏が複数のサプライチェーン筋の情報を集めて分析したところ、AppleはiPhone 5cのiPhone 6版のような製品を計画していた節があるという。
"iPhone 5cのiPhone 6版のような"という部分は2つの側面があり、1つは本体サイズが4インチであること、もう1つが実質的な廉価版にあたるという部分だ。この"iPhone 6c"的な製品の痕跡が存在していた兆候は今年1~3月ごろまではあったが、現在ではすでになく、計画そのものが立ち消えになったと同氏は考えているようだ。消えた理由の1つとしては、iPhone 6cを出しても価格の引き下げられたiPhone 6の売上を侵食するだけで、販売効果は薄いとAppleが判断したことだという。
Business Insiderも指摘しているように、この話題は春先からすでに何度か出ており、計画破棄の噂も今回が二度目となる。Ubergizmoが関連する過去記事を網羅しているが、噂でしかない新製品が登場前に開発中止にされ、すぐに新しい噂が再び出現するなど、非常に奇妙な状況になっているが、それだけユーザーの中に4インチモデルを求める声が存在していることの現れといえるかもしれない。
だが実際のところ、Appleはこうした4インチに対するニーズを新しくリリースされたばかりの第6世代iPod touchで満たそうとしているように見える。以前のレポートで指摘したように、Appleは新型iPod touchでカメラ機能やプロセッサを強化する一方で、Touch ID非搭載などコスト削減をしつつiPhoneとの差別化を図っている。
この背景には「安価で小型なiPhone 5s」の影がちらついているが、おそらくはこうしたニーズを取り込みつつ、本筋である現行世代のiPhoneの売上を削りたくないという意図もみられる。iPhone新製品を開発してこの需要に応えるよりは、それに近い機能のiPod touchを投入してiPhoneのビジネスを守りたいのではというのが筆者の予想だ。