中国株急落と日本株への影響
6月に中国株式が急落し、それと連動して日本株式も大きく下落しました。日本株式が下落した要因のひとつが、投資で損失を出した中国人が増えると日本で買い物をする観光客が減るのではという思惑が働いたからです。日本に来る外国人観光客の中でも中国人観光客は大きな割合を占めるため、日本株式への影響は大きなものになりました。
インバウンド消費
年々日本経済に対する外国人観光客の影響力が高まってきています。2014年には1,341万人の外国人観光客が日本を訪れ、過去最高となりました。2004年は613万人だったので、10年間で2倍以上になったことになります。
外国人観光客が日本で消費することをインバウンド消費といいます。外国人観光客の国内消費額も2014年に2兆円を突破し、ホテルや小売店にとってもはや無視できない存在となっています。ちなみに、2013年に日本で売れた化粧品の総額は約2兆3,000億円なので、インバウンド消費は化粧品市場と同じ位の規模になります。外国人観光客の消費は日本のGDPの0.3%を占め、成長率が1~2%程度の日本経済にとっても重要な存在となっています。
3つの理由で増加
外国人観光客が増加した理由は3つです。 1つ目はアベノミクスによる円安で日本への旅行が割安になったこと、2つ目はアジアを中心とした新興国の所得が増加して海外旅行に行く人が増えたこと、そして3つ目はビザの発給条件が緩和されたことです。
こうした経済・政策面での後押しもあり、今後も外国人観光客の増加が見込まれています。
外国人観光客の消費が増えれば日本株式にとってもプラスとなります。日本株式にとって外国人観光客の存在はますます重要になってきそうですね。
日本への外国人観光客とインバウンド消費の推移(期間:2010年~2014年)
●ピクテ投信投資顧問が提供する、「ボンジュール」からの転載です。