「バツイチ」という言葉がすっかり浸透した今日、離婚に対するネガティブなイメージはかなり払拭されたようですが、男性も女性も一人では寂しいというのが、再婚を考えるきっかけに多いのではないでしょうか。
さらに男性はどうしても家事をしてくれる相手を求めがちで、「もう結婚はこりごり」と口では言っていても、今度は大丈夫という思いが強いように思います。
では、再婚率が高いのはどこか? 再婚率は離婚が前提ですから、離婚が多いところは再婚も多く、離婚の少ないところは再婚も少ないのです。そこで、離婚率の順位と、再婚率の順位を比較してみました。男性の離婚率順位-再婚率順位の上位県、つまり離婚率が低く再婚率が高い地域、つまり、離婚する人は少ないが再婚する人が多い地域は、「寂しがり屋が多い」と考えました。逆に、下位県、離婚率が高く再婚率が低い地域、つまり、離婚しても再婚しない地域は、「結婚はもう……」と思っている人が多いということなのかもしれません。
再婚する男性が多い都道府県1位は「山口県」
再婚の夫の上位10県、つまり寂しがり屋が多いのは、なんと瀬戸内地域でした。瀬戸内の5県がベストテン入りしているのです。
1位の山口県の男性は米、塩、紙の三白で豊かだったこともあり、「クルマは4ドアセダン」とか「年上には従う」といった保守的な考えがいまだ残っていると思います。ケンカしても簡単には謝らないし頑固で負けず嫌いで、好き嫌いがはっきりしている。結婚すると、亭主関白になりやすく、妻に内助の功を求めるタイプだけに、離婚すると再婚する人が多いと考えます。
2位の岡山県は、奈良時代はすきやくわを、平安時代は刀を作って来た地域で、昔から工業がさかんだったため、理知的、理論的な性格が形成されたように思います。大阪の影響もあって、お金にはシビアで財布の紐も固いし、流行にも安易に振り回されない。お酒を飲むことも少なく、仕事が終わると自宅へ直行する模範的な夫になるでしょう。何事にも完璧主義だけに、妻が欠けているのは気になって再婚している人も少なくないのでは。
3位の三重県は地域によって気質が違いますが、共通するのは結婚すると亭主関白ぽい夫になることだと考えられます。妻がいないのには寂しいはずですから、再婚も多くなるのでは。4位は熊本県、5位は鹿児島県。ともに保守的な地域で、なかでも鹿児島は、気丈ですが、一歩引いて夫をたてる母親を見て育っただけに、妻がいないのは寂しいはずで再婚する人が多いと思われます。
東京、京都、大阪はそろって27位。いずれも、気の強い妻と結婚していたはずで「もう結婚はこりごり」かと思ったのですが、意外に再婚しているという結果になっています。東京や京都の男性はプライドが高いので失敗したまま終わりたくないという気持ちは強いはず。大阪の男性は、気の強い妻のツッコミがないのは寂しいのではないでしょうか。
逆に、47位は埼玉、46位は千葉、45位は神奈川。女性のランキングとはまるで違います。この3県の男性は、もともと淡泊で面倒くさがり屋と考えられます。「別れた妻は、確かに欠点も多かったが、今後、あの妻よりいい女と出会う可能性は低いのでは……」と自らあきらめているのではないでしょうか。
<著者プロフィール>
矢野新一
(株)ナンバーワン戦略研究所所長。エリアマーケティングの第一人者で、かつ県民性研究の第一人者。「県民性博士」とも呼ばれている。県民性に関する著作は20冊にのぼる。最新刊は『石川県人と富山県人のえっホント?』(北国新聞社)。テレビ出演、雑誌の監修も多数。無料アプリ「ズバット県民性」やサイト「県民性ワールド」も人気。東京生まれ。横浜市西区育ち。