国土交通省は7月17日、「第17回航空安全情報分析委員会」(6月24日実施)において審議された、平成26年度の航空輸送の安全に関わる情報の概要を発表した。平成26年度においては、本邦航空運送事業者から航空法第111条の4の規定に基づき、航空事故2件、重大インシデント4件及び安全上のトラブル922件の合計928件について報告した。
航空事故の1件は4月29日、ジェイエア機(エンブラエル式ERJ170-100STD型)が飛行中、機体が動揺して客室乗務員 2人が負傷した。もう1件は9月12日、JAL機(ボーイング式767-300型)がソウル(金浦)に向け降下中、機体が動揺して客室乗務員7人が負傷した。
一方、重大インシデントは4件となった。4月28日には、ピーチ・アビエーション機(エアバス式A320-214型)が那覇空港に進入中、対地接近警報装置が作動したため緊急の回避操作(機首上げ操作)を行って進入復行を行った。5月28日には、ANA(ボーイング式 777-300ER型)が離陸直後に第2エンジン(ゼネラル・エレクトリック式GE90-115B型)に振動が発生し、排気ガス温度が高いことを示す計器表示があったため、同エンジンを停止して航空交通管制上の優先権を要請のうえ引き返した。
また7月30日には、日本貨物航空機(ボーイング式747-8F型)が降下中、接近する航空機を確認したために回避操作を行い、9月20日には、新中央航空機(セスナ式172P型)が遊覧飛行終了後、着陸する際に管制官から指示された滑走路ではなく作業員が滑走路付近で作業中であった別の滑走路に着陸を試みた。
同委員会で平成26年度の安全上のトラブル等について審議した結果、それぞれの事案について関係者により必要な対応がとられており、引き続き適切にフォローアップを行っていくべきことが確認された。また、引き続き安全上のトラブル等の航空安全情報の分析に基づき、機材不具合への対応、ヒューマンエラー防止への取り組み、TCAS RA(航空機衝突防止装置の回避指示に基づく回避操作)やGPWS(対地接近警報装置の指示に基づく回避操作)による回避操作に係る情報共有を進めるとしている。
加えて、個別事案への対応を的確に行うとともに、航空運送事業者の事業規模拡大による航空を取り巻く環境変化にも十分配慮し、監視・監督の強化、予防的安全対策の充実等を図ることが必要であるとしている。