スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ち、様々な部品や技術が搭載されています。そんなスマートフォンのカタログを見たときに、専門用語 のオンパレード……と思ったことはないでしょうか。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「LTE-U」についてです。

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LTE-U(エルティーイー・ユー)は、2.4GHz帯および5GHz帯を使いLTE通信を高速化する技術です。これらの周波数帯は、特定出力以下ならば免許なしに運用できることもあり、すでに無線LANで使用されていますが、免許が必要とされ携帯電話会社により運営されているLTE通信の補助に使おうというのがLTE-Uのコンセプトです。

LTE-Uが登場した背景には、高速通信を必要とするスマートフォンなど小型端末の普及と、その通信に用いられる周波数帯域の世界的な不足があります。携帯電話各社は新しい周波数帯域の獲得を目指していますが、限りがあるため要望どおりにはいきません。

そこで考案された手法が、複数の電波を1つに束ねて高速化を図る「キャリアアグリケーション(CA)」の応用です。LTEの基地局とWi-Fiのアクセスポイントをつなぎ、LTEとWi-Fiの両方でトラフィックを流すことで高速化と大容量化を図ります。比較的余裕がある免許不要の5GHz帯の一部をLTEと束ねる「LAA(License Assisted Access using LTE)」とも呼ばれるこの技術は、携帯電話システムの業界団体である3GPPにより標準化が進められています。

ここ日本で無線LANに使用されるアンライセンス周波数は、5GHz帯で455MHz幅となっています。NTTドコモとKDDIグループに割り当てられた周波数帯域が160MHz幅、ソフトバンクグループが201MHz幅ですから、この5GHz帯がLAAで利用できることは通信各社にとって大きなメリットです。

サービス開始時期は未定ですが、LTE-Uが2015年末にも正式規格となる予定であることから、2015年後半には対応チップの商用サンプルが出荷開始される見通しです。対応スマートフォンは、早ければ2016年にも登場することでしょう。

LTEとWi-Fi/5GHzを組みあわせることで高速化/大容量化を図る「LTE-U」(写真はQuallcommが「Mobile World Congress 2015」で用いたスライド)

(記事提供: マイナビニュース・携帯ch)