説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「送信したメールを取り消すことはできますか?」という質問に答えます。
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いわゆる「メール(インターネットメール)」は、原則として送信を取り消せません。これは、iPhone/スマートフォンにかぎらず、パソコンのメールソフトも同様です。いちど送信指示したメールは、宛先に誤りがあったり相手先のメールサーバに受信を拒否されたりなどのイレギュラーな事態が発生しないかぎり、ごく短い時間で相手に届きます。相手のメールサーバが受信した時点で、そのメールを送信したことは揺るぎない事実となり、なかったことにはできません。
この決まりごとは、"バケツリレー"に喩えられる方法でメールを相手のもとへ届ける、メールサーバ(SMTPサーバ)の動作ルールにあります。どのような手順で処理するかは、インターネット標準の技術仕様を定めた文書群「RFC(Request for Comments)」に定められており、どのメールサービス事業者/プロバイダが運営するメールサーバもこれに従うため、例外はないと考えていいでしょう。
ただし、自分が利用するメールサーバが外の世界(インターネット)へ送信を開始しないかぎり、メールは"手もと"にあるわけですから、取り消しが不可能というわけではありません。メールを送信したときが偶然オフラインの状態(インターネット未接続時)であれば、外部への送信処理が開始されていませんから、メールアプリを強制終了するなどの方法で止めることも不可能ではありません。
Gmail限定になりますが、10秒程度の短い時間内であれば、送信してしまったメールを取り消すことが可能です。iPhoneの場合、Googleが無償公開しているメールアプリ「Inbox」を利用すると、メールの送信後に「送信しました」というメッセージとともに「元に戻す」ボタンが現れます。このボタンをタップすれば、送信したはずのメールは下書き状態に戻ります。「元に戻す」ボタンが消えてしまうと、実際の送信が始まり取り消しは不可能になります。
この機能は、メールの送信指示を受けてから実際に送信するまでのタイムラグを設けられるという、Gmailの仕様(オプション)によるものです。あくまでGmailのサービスの範囲内で提供される機能であり、他のメールサービスでは利用できません。