広島県立美術館で9月11日から10月18日まで、「浮世絵師 歌川国芳展」が開催される。料金は、一般1,100円、高・大学生700円、小・中学生 400円。開館時間は9時から17時まで(金曜日は20時まで、入館は閉館の30分前まで)で、会期中は無休となっている。

《朝比奈小人嶋遊》 弘化4-嘉永5(1847-52)年頃(後期展示)

巨大な骸骨や鯨、愛らしく擬人化した猫や雀などの戯画も

《坂田怪童丸》天保7(1836)年頃

斬新な表現と独自のユーモアにより、国内はもちろん海外からも高い評価を得ている浮世絵師・歌川国芳(1797-1861)。同展では、中国の歴史小説の英雄を描いた「水滸伝」シリーズをはじめとした約200点(うち前後25点展示替え予定)を展示。江戸幕末の時代に描かれた奇想天外な世界観を堪能することができる。

《宮本武蔵と巨鯨》弘化4(1847)年頃(前期展示)

無名の絵師であった歌川国芳は、折からの「水滸伝」ブームを背景にその登場人物を錦絵化した「通俗水滸伝」シリーズを刊行。その迫力ある画風が話題となり、瞬く間に成功をおさめた。「武者絵の国芳」とも言われるほど人気絵師となった国芳は活力あふれる武者絵を次々と描き、特に三枚続きのワイド画面に巨大な鯨を描いた《宮本武蔵と巨鯨》などに卓越した画才を発揮した。

《みかけハこハゐがとんだいゝ人だ》弘化4(1847)年頃(前期展示)

「天保の改革」による財政再建により、役者や芸者・遊女を描くことや豪華な色摺が禁じられた時代には、幕府への反骨を笑いに変えて風刺する作品を発表。ユーモアあふれる発想は、江戸の多くの庶民に賞賛された。また、猫や雀、金魚など身近な動物を愛らしく擬人化した戯画も残している。

《其まゝ地口猫飼好五十三疋(下)》嘉永元(1848)年頃

また、花火や虹、雨や雲、月や星など、日本の文化・自然を風景に描きつつ、洋風の遠近法や陰影法を取り入れ、その風景画なども作品として残している。生涯最期の仕事は、開国が迫る時代に期待を胸に膨らませて横浜の風景を描いたものとなった。

※展示会は、会期中展示替えが行われる。前期展示は9月11日から27日まで、後期展示は9月28日から10月18日までとなる。