任天堂は13日、代表取締役社長の岩田聡氏が胆管腫瘍のため11日に死去したと発表した。55歳だった。この衝撃的なニュースは瞬く間に全世界を駆け巡り、国内外からSNSを通して追悼の言葉が寄せられている。

Twitterには「#ThankYouIwata」というハッシュタグが生まれ、世界中の任天堂ファンから岩田社長に宛てた追悼のメッセージが書き込まれた。言葉だけでなく、イラストやゲームのスクリーンショットなど表現方法は様々だ。14日現在もツイートは増え続けている。

海外から寄せられたこちらのイラストは、Peach BunniさんというクリエイターがTumblrに投稿したもの。任天堂のキャラクターたちが、岩田社長に回復アイテムを差し出している。

コナミヨーロッパ公式アカウントからは、岩田社長が任天堂のキャラクターと抱き合う後ろ姿を描いたイラストが「Thank you Mr Iwata. You will be greatly missed!」というコメントと共に投稿された。

日本語版Twitter公式アカウントもツイートしていた。

『スプラトゥーン』にも数多くの追悼コメントとイラスト

『Wii U』向けゲームソフト『Splatoon(スプラトゥーン)』の「Miiverse(ミーバース)」にも追悼のメッセージとイラストが数多く投稿されている。「Miiverse」は『Wii U』ユーザーがゲーム体験を他のユーザーと共有するためのネットワークサービスで、『スプラトゥーン』ではゲーム内のロビーに表示される。

これまではゲームの登場キャラクターを描いたファンアートやパロディなどが主だったが、13日以降は岩田社長を偲ぶ投稿が大半を占めた。14日朝、もう一度『スプラトゥーン』を起動してみたが、変わらず多くの追悼コメントが寄せられている。

すでに各所で紹介されている通り、岩田社長はHAL研究所に入社後、『バルーンファイト』や『星のカービィ』、『MOTHER2 ギーグの逆襲』などのヒットタイトルの制作を手がけ、2000年に任天堂に入社。02年に前社長・山内溥氏の後任として社長に就任した。最近では経営者としての印象が強いが、プログラマーとしても数々の逸話を残す才能の持ち主だった。

就任後は『ニンテンドーDS』や『Wii』といったハードを世に送り出し、これまでゲームをしなかった層を開拓。ゲーム人口を拡大することに成功した功績は大きい。

一方で、自らが"直接"メッセージをユーザーに届ける「Nintendo Direct」や、岩田社長自身が開発者にインタビューを行う公式サイトのコンテンツ「社長が訊く」など、任天堂の顔として精力的に活動。おそらく、ゲームのキャラクター以外では、もっとも世の中に知られた"任天堂のキャラクター"であり、だからこそ世界中のファンから愛されたのだろう。

最後に筆者自身の話を少しだけさせてほしい。現在に至るまで発売されたハードはほぼすべてそろえているが、初めて触ったゲーム機がスーパーファミコンだったことから、特に任天堂のゲーム機に対する思い入れは強い。たくさんのゲームで遊び、たくさんのことを学ばせてもらった。

最近は『スプラトゥーン』に夢中になっており、つい先日、「『Splatoon(スプラトゥーン)』は世界を塗り替えるか? ヒットの要因は、ゲーム性だけではない二次創作とネットの広がり」という記事を書いたばかりだった。まさか、その翌日にこんなニュースを目にすることになるとは思わなかった。一人のゲームファンとして、とても残念に思う。

ご冥福をお祈りします。