政府は14日、2014年度のエネルギー白書を閣議決定した。それによると、東日本大震災以降、家庭用の電気料金は平均25.2%上昇したことがわかった。
産業用は38.2%上昇
白書は、日本では震災以降、原子力発電所が停止し、海外からの化石燃料への依存が増加したことにより、国際的な燃料価格の動向に大きな影響を受けやすい構造となっていると分析。化石燃料の輸入増加による国富の流出や、国内のエネルギーコスト高といった課題に直面していると指摘している。
2010年~2014年度の電気料金は、火力発電所の稼働率上昇に伴う火力燃料費の増加などにより、家庭用で平均25.2%、産業用で平均38.2%上昇。また、エネルギー関連の消費者物価指数は、震災以降に大きく上昇し、2014年平均(2010年=100)を見ると、「電気代」は126.0、「灯油」は138.0、「ガソリン」は123.2まで上昇していた。
2010年と2014年の家計の支出状況を比較したところ、エネルギー関連の消費者物価指数の上昇により、電気代や自動車維持費の支出額が急増する一方、教養娯楽やこづかいなどの支出が減少していることが判明。白書は、エネルギーコストの上昇に伴い「家計の支出パターンにも影響が出ている」と指摘している。
低年収、高年齢世帯ほど電気代の負担大
2014年の家計の消費支出に占める電気代の割合を見ると、年間収入436万円以下の世帯では4.8%だったのに対し、906万円以上では3.1%にとどまっていた。また、世帯主の年齢が29歳以下の場合は3.1%だったのに対し、70歳以上では4.6%に上昇しており、世帯年収が低いほど、あるいは世帯主の年齢が高いほど、電気代の負担が大きいことも明らかになった。
このようなエネルギーコストの上昇に対し、家庭でも節電などの取組が行われているものの、電力については上昇幅の方が大きくなっている。2010年から2014年にかけて、家庭の電気代支出額は13.7%も上昇したが、電力使用量は7.7%の減少にとどまっており、節電に努めても電気代支出額の増加が止まらない状況であり、「エネルギーコストは家計にも大きな負担となってきている」と懸念している。
さらに産業界においても、エネルギーコスト上昇による負担が増していることが判明。日本商工会議所の調査によると、電気料金上昇の許容額は「1円/1キロワット時未満」が限界という企業が56.1%、電気料金上昇は「事業活動に影響がある」という企業が90.8%を占めた。