北海道新幹線新函館北斗駅の駅舎見学会が7月12日に開催された。2015年度末に予定される北海道新幹線新青森~新函館北斗間開業に向け、ひと足早く駅舎の雰囲気を体感してもらおうと企画されたもの。一般公募に当選した約500人が参加した。
新函館北斗駅のデザインコンセプトは「自然と共に呼吸(いき)するモダンで温かみのある駅」。駅舎前面のガラス張り部分からも見える、上部が枝分かれした白い柱は、北斗市にあるトラピスト修道院のポプラ並木を表現している。
地元の素材を生かしたぬくもりのあるデザインとするため、駅舎内天井には道南杉の集成材を使用。随所にあしらわれたレンガ壁は、北斗市茂辺地が北海道で最初にレンガを製造した地であることに由来する。黒っぽい色合いの壁面と中央のガラス張り部分との対比が印象的な駅舎外観は「門」をイメージ。北斗市の玄関口であるとの意味を込めて、黒いゲートの形にしたという。駅舎1階には100平方メールの地場産品販売施設(アンテナショップ)を開設。北斗市観光協会が運営し、道南の特産品や隠れた逸品を販売するほか、各自治体による物販や観光PRなどに使える貸出しスペースを備える。
エスカレーターを上がって2階へ行くと、すぐ右手にガラス張りの細長い部屋がある。レンガ壁のこのスペースに北斗市の観光案内所が入る予定で、新函館北斗駅から北海道全域に向かう利用者に道内各地の情報を提供すべく、準備を進めている段階だという。
北斗市が整備する南北自由通路も2階にあり、新幹線が入出線する様子をガラス越しに見下ろせるスポットになるとのこと。残念ながら見学時には仮設の壁で覆われており、その眺めを垣間見ることはかなわなかった。
改札手前の待合所奥には、八戸で駅弁製造などを手がける吉田屋が運営する飲食店が入る予定。道南の新鮮な素材を使った新たな食を開発し、旅行者のみならず地元客にも喜んでもらえるスペースをめざす。
見学会開会式で挨拶する北斗市長の高谷寿峰氏。北斗市のキャラクター「ずーしーほっきー」と北海道新幹線開業PRキャラクター「どこでもユキちゃん」も参加 |
自由通路南側から北側を見る。左手の仮設壁がなくなると、ガラス越しに新幹線ホームが見下ろせるという |
新幹線ホームは1階。見学会では在来線駅舎との境界を背に、対面式2面2線の新幹線ホームが見学者に公開された。手前から新幹線1番線・2番線を挟んで向こう側に見える新幹線第2ホームのさらに向こう側に、札幌開業時に使用する新幹線3番線のためのスペースがあるものの、これはまだ整備されていないとのこと。
ホーム延長は263mで、ここにH5系10両編成などが発着する。この日、見学者が立つことができたのは新幹線第1ホーム。駅舎開業後は在来線ホームと同一平面上でつながり、函館駅へのアクセス列車や札幌方面への特急列車にそのまま乗り継げるようになる。
なお、鉄道・運輸機構によれば、新函館北斗駅は外観・内装ともに主要な工事はほぼ完了しており、9月上旬までに完成の見込みだという。駅舎総工費は約40億円。