KDDI(au)では、2015年夏モデルとしてカメラ機能にフォーカスしたスマートフォンを続々と投入する。今回auから夏モデル7機種「isai vivid LGV32」「HTC J butterfly HTV31」「Xperia Z4 SOV31」「Galaxy S6 edge SCV31」「AQUOS SERIE SHV32」「TORQUE G02」「URBANO V02」を借りることができたので、各機種のカメラ性能をチェックしていきたい。

au 2015年夏モデルの最新スマートフォン7機種が出揃いつつある。どのような特長があるのだろうか?

au 2015年夏モデルの主なスペック表 ※拡大画像はこちら

一眼レフが嫉妬する!? 「isai vivid LGV32」

「isai vivid LGV32」(LG Electronics製)は、約5.5インチのAH-IPS(2,560×1,440ドット)ディスプレイを備えたスマートフォン。高精細「IPS Quantum ディスプレイ」により、ハイコントラストと明るさで陰影のディテールが強調された映像を楽しめる。背面にはF値1.8の明るいレンズを採用した約1,600万画素のメインカメラを搭載している。5月29日に発売を開始した。

約5.5インチの「isai vivid LGV32」。背面にはF値1.8の明るいレンズを採用した約1,600万画素のメインカメラを搭載している

「isai vivid LGV32」のキャッチコピーは「一眼レフが嫉妬する」。各種マニュアルでの撮影やデータのRAW出力など、一眼レフカメラに近い使い方が可能となっている。ではマニュアルにすると、どのような写真が撮れるのだろうか? カメラ初心者の方には馴染みがない機能かも知れないので、本稿ではシャッタースピードを操作して撮影した作例を紹介していこう。例えば日中、シャッタースピードを1/8秒程度まで遅くして撮影すれば、街を歩く人の残像を撮ることができる。夜間に1/2秒程度まで遅くすれば、道を行き交う車の光跡なども撮影可能だ。このほか、マニュアルではホワイトバランス、露出補正、ISO感度などの各種パラメーターを調整できるようになっている。

シャッタースピードを1/8秒まで遅くして、駅の改札へと急ぐ人たちを撮影(写真左)。1/2秒まで遅くすれば、道を行き交う車の光跡も撮影可能(写真右)

光学式手ぶれ補正機能に対応しているほか、従来機種に比べて暗い場所における被写体の検出性能も向上。ピント合わせがより高速になっている。前述の通りカメラにこだわる人にはマニュアルが利用でき、カメラ初心者の人もシンプル/ベーシック/マニュアルで簡単にキレイな夜景を撮影できる。それが「isai vivid LGV32」の魅力と言えるだろう。

暗い場所における被写体の検出性能が向上。誰でも簡単にキレイな夜景を撮影することができる(作例はベーシックモードで撮影)

後からピントを変えられる!「HTC J butterfly HTV31」

「HTC J butterfly HTV31」(HTC製)は、約5.2インチのSuper LCD3(2,560×1,440ドット)ディスプレイを備えたスマートフォン。前面にはサブカメラとしては異例の高画素となる約1,300万画素カメラを搭載しており、高精細な自撮りが可能となった。背面には2つのレンズで構成される約2,020万画素のDUOカメラを備えている。6月5日に発売を開始した。

約5.2インチの「HTC J butterfly HTV31」。前面には約1,300万画素のCMOSカメラを、背面には約2,020万画素のDUOカメラを搭載している

前面の高画素カメラの実力が活きる機能が「スプリットキャプチャ」と「リアルタイム美肌効果」。スプリットキャプチャは前面カメラと背面カメラの両方で同時に撮影する機能で、これにより撮影者と被写体を同じ1枚の写真に収めることができる。撮りたいものを写しつつ自撮りするという、欲張りな使い方が可能。観光地などで活用できるだろう。

「HTC J butterfly HTV31」は、前面にも高画素な約1,300万画素カメラを搭載(写真左)。スプリットキャプチャでは、前面カメラと背面カメラの両方で同時に撮影できる(写真右)

リアルタイム美肌効果では、肌の質感を良く見せることができる。画面に表示されるスライドを動かすことで、美肌効果の程度を自由に調整可能。自撮りをしたいけれどシミやシワが気になる、という場面で便利に使えることだろう。

リアルタイム美肌効果の使用前(写真左)と使用後(写真右)。中年筆者のヒゲの濃さ、カミソリ負けした肌の荒れ具合、シワなどが”美肌効果”により、見事に緩和されている

背面のDUOカメラでは、2つめのレンズで距離情報を記録している。「UFocus」機能を使えば、撮影後の写真のピントを好きな場所に変更可能だ。友人の写真を撮影したが、背景にほかの人が写り込んでしまった。そんなケースで有効に使える。

「UFocus」では、写真のピントを好きな場所に合わせることができる。作例はオートで撮った写真(写真左)のピントを、手前の木(写真中)と、奥の木(写真右)に再調整した様子

楽しいアプリが満載の「Xperia Z4 SOV31」

「Xperia Z4 SOV31」(Sony Mobile Communications製)は、約5.2インチのトリルミナスディスプレイ for mobile(1,920×1,080ドット)を備えたスマートフォン。ハイレゾ相当の音質をワイヤレスで楽しめる音声圧縮技術「LDAC」に対応した。メインカメラの画素数は、au 2015年夏モデルで最高となる約2,070万画素。前面には約510万画素のCMOSカメラを装備している。6月11日から発売を開始した。

約5.2インチの「Xperia Z4 SOV31」。メインカメラの画素数は、au 2015年夏モデルで最高の約2,070万画素となっている

「Xperia」シリーズの特長のひとつが、カメラアプリが豊富な点。「Xperia Z4 SOV31には「スタイルポートレート」や「ARマスク」などの楽しいアプリがプリインストールされている。スタイルポートレートでは、フェイスペイントなどの特殊効果が利用できる。ARマスクでは、人の顔に別人の顔をはめこむことが可能。いずれも機能も、ディスプレイを見ながら効果を確認できる。

スタイルポートレートでフェイスペイントを適用(写真左)。別人の顔をはめこむARマスク(写真右)など、楽しいカメラアプリが豊富にプリインストールされている

また、プレミアムオートには「料理」の自動認識機能が追加された。発色が鮮やかになったことで、料理の写真もより美味しそうに撮影できる。スタイルポートレート、ARマスク、プレミアムオートなど「Xperia Z4 SOV31の機能を駆使すれば、旅行やパーティなどの楽しい想い出を鮮やかな写真と一緒に残せそうだ。

プレミアムオートには「料理」の自動認識機能が追加された。発色が鮮やかになり、美味しそうな料理の写真を撮影できる

カメラ周りがより充実した「Galaxy S6 edge SCV31」

「Galaxy S6 edge SCV31」(SAMSUNG製)は、約5.1インチのSuper AMOLED(2,560×1,440ドット)ディスプレイを備えたスマートフォン。端末のディスプレイ両端が湾曲したデュアルエッジスクリーンを採用している。背面には約1,600万画素の、前面には約500万画素のCMOSカメラを備えている。4月23日に発売を開始した。

約5.1インチの「Galaxy S6 edge SCV31」。背面には約1,600万画素の、前面には約500万画素のCMOSカメラを搭載。どちらもF値1.9の明るいレンズを採用している

前面・背面カメラともにリアルタイムHDRに対応、屋外など光の明暗が激しい場所でも鮮明な写真を撮影できる。背面カメラは、光学+電子 手ブレ補正に対応。暗所での撮影にも効果を発揮する。このほか、手のひらを向けると反応してシャッターが切れる「ジェスチャー撮影」や、写真を撮影した後に背景をぼかす「選択フォーカス」、ピントが合った状態で被写体を追いかける「トラッキングAF」、被写体を周りこむように撮影できる「バーチャルショット」などの機能を搭載している。

リアルタイムHDRにより、屋外など光の明暗が激しい場所でも鮮明な写真を撮影できる

同じ位置から撮影して、ズーム機能の実力を試した。光学+電子 手ブレ補正が心強い

ハイスピード撮影が面白い! 「AQUOS SERIE SHV32」

「AQUOS SERIE SHV32」(SHARP製)は、約5インチのIGZO(1,920×1,080ドット)ディスプレイを備えたスマートフォン。肉眼では捉えることができない一瞬を記録するハイスピードカメラ並みの超高速撮影や、タイムラプス(微速度撮影)などに対応している。6月5日に発売を開始した。

約5インチの「AQUOS SERIE SHV32」。ハイスピードカメラ並みの超高速撮影や、タイムラプスなどに対応している

背面のメインカメラは秒間210秒のハイスピード撮影に対応。フレーム補間技術でコマ数を10倍に増やすことで2,100fpsに変換し、通常の1/70の超スロー再生が行える。スーパースロー映像は端末で再生して楽しめるほか、SNSにシェアしたり、MP4にエクスポートしたりできる。実際に1分間の動画を撮影してみたので、以下に掲載しよう。

海に持って行きたい! 「TORQUE G02」

「TORQUE G02」(KYOCERA製)は、約4.7インチのスマートフォン。海水の中でも使用できる防水性能を備えているので、海水浴にも気兼ねなく持っていける。カメラに関しては、気圧センサーとタッチパネルが水を検知することで、水中に適した画像に自動補正する機能を装備している。7月上旬に発売を開始する予定。

約4.7インチの「TORQUE G02」。海水の中でも使用できる防水性能を備えている

背面には約1,300万画素、前面には約500万画素のCMOSカメラを搭載。「TORQUE G02」独自の仕様として、水中を検知すると自動で水中モードに切り替わる機能を備える。水中では、変化する色味・ゆがみを最適化したキレイな写真を撮影可能だ。

水中を検知すると自動で水中モードに切り替わる。水中では、変化する色味・ゆがみを最適化した写真を撮影可能だ

京セラの画像処理エンジン搭載の「URBANO V02」

「URBANO V02」(KYOCERA製)は、約5インチのスマートフォン。防水、防塵、耐衝撃に加えて、新たに耐振動、温度耐久(低温/高温)に対応した。細かな設定が可能な通話機能や、フィーチャーフォンで親しんだキー配置で文字入力が可能なソフトキーなどを備える。7月上旬に発売を開始予定。

約5インチの「URBANO V02」。背面には約1,300万画素、前面には約500万画素のCMOSカメラを搭載する

背面には約1,300万画素、前面には約500万画素のCMOSカメラを搭載。京セラ独自の画像処理エンジン"AINOS Engine"を搭載しており、薄暗い場所でも綺麗に撮れる。端末のサイドにはカメラキーを配置しており、長押しでカメラが起動する。これにより、シャッターチャンスを逃すことがない。

京セラ独自の画像処理エンジン"AINOS Engine"を搭載。色鉛筆、水彩画、コミックなどのエフェクトをかけることもできる

各機種の特徴を探る

それでは最後に、各機種で撮影した写真を見比べてみたい。まずは前面カメラを使い、セルフィー撮影を行ってみた。既述の通りスペック上では、「HTC J butterfly HTV31」の約1,300万画素の高画素カメラが頭抜けている。セルフィーで撮影した写真を印刷したい、というような用向きには最適だろう。リアルタイム美肌効果で”美肌の加減”を調整できる点も「HTC J butterfly HTV31」だけの魅力となっている。

前面カメラを使い、セルフィー撮影したもの。左から、「isai vivid LGV32」、「HTC J butterfly HTV31」、「Xperia Z4 SOV31」「Galaxy S6 edge SCV31」、「AQUOS SERIE SHV32」で撮影

次に背面カメラを使い、ポートレート撮影を行ってみた。カメラの操作に慣れた人なら、シャッタースピードやホワイトバランスが自由に変更できる「isai vivid LGV32」が期待に応えてくれそうだ。また、撮影後にフォーカスを調整できる「HTC J butterfly HTV31」なら、背景をぼかした印象的なポートレートに仕上げることができるだろう。

背面カメラを使い、ポートレート撮影したもの。左から、「isai vivid LGV32」、「HTC J butterfly HTV31」、「Xperia Z4 SOV31」、「Galaxy S6 edge SCV31」、「AQUOS SERIE SHV32」で撮影

「isai vivid LGV32」のマニュアルモードでシャッタースピードを落として撮影すれば、動きのある写真が撮れる(写真左)。「HTC J butterfly HTV31」のDuoカメラでは背景をぼかす加工が行える(写真右)

ポートレート撮影では、セルフタイマーを利用する場面も多い。そこで、各端末におけるセルフタイマーの使い勝手の違いについてもここで簡単に触れておこう。ホーム画面に戻るとタイマーの設定が解除されるモデルは「isai vivid LGV32」と「HTC J butterfly HTV31」。他の機種では、一度ホーム画面に戻ってもタイマーの設定は解除されない。このため、タイマーをオフにしたいときは手動で戻す必要がある。また各端末とも、シャッターが切られるまでの残り時間は電子音で分かるようになっている。その電子音が分かりやすいモデルは、音階が変わる「HTC J butterfly HTV31」と、音の間隔が短くなる「Galaxy S6 edge SCV31」。ちなみに「Galaxy S6 edge SCV31」では、撮影後に数秒間、撮影した画像の確認が行える。デジカメではお馴染みのこうした機能を便利に感じる人もいるだろう。ところで「「Xperia Z4 SOV31」、「AQUOS SERIE SHV32」では撮影前にフラッシュが瞬く。特に「Xperia Z4 SOV31」の場合は眩しいと感じるほど激しく光るので、近距離で撮影する際は注意したい。

最後に、暗所での撮影をイメージして東京タワーのイルミネーションを「isai vivid LGV32」、「HTC J butterfly HTV31」、「Xperia Z4 SOV31」、「Galaxy S6 edge SCV31」、「AQUOS SERIE SHV32」の5機種で撮った。撮影モードはオート。

左から、「isai vivid LGV32」、「HTC J butterfly HTV31」、「Xperia Z4 SOV31」、「Galaxy S6 edge SCV31」、「AQUOS SERIE SHV32」のオートモードで撮影した東京タワーの様子

明るいレンズを採用している機種では、夜景が明るく撮れる。また暗所では手ぶれで失敗する可能性が高くなるので、手ぶれ補正が効いているかどうかも写真の出来を左右する。色合いに関しては各社でチューニングが異なるので、利用者によって好みが分かれるだろう。個人的には、「isai vivid LGV32」で撮った夜景が綺麗で気に入った。同端末では暗所における被写体の検出性能が向上しているとのことなので、人を撮る際にもメリットが感じられそうだ。

撮影した写真の一部をトリミングしたもの。左から、「isai vivid LGV32」、「HTC J butterfly HTV31」、「Xperia Z4 SOV31」、「Galaxy S6 edge SCV31」、「AQUOS SERIE SHV32」のオートモードで撮影した東京タワーの様子

まもなく夏本番を迎える。この時期、夏休みの旅行計画を練っている人も多いことだろう。旅行に欠かせないアイテムと言えばカメラである。この夏はデジタルカメラの代わりに、カメラが大幅に進化したau 2015年夏モデルを持って旅行に出かけてみてはいかがだろうか。