ボーイングと日本の主要な航空業界関係者は7月8日、数百万人が日本を訪れると見込まれる2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックまでに、持続可能な航空機用バイオ燃料を開発する方針を発表した。

持続可能な航空機用バイオ燃料を開発する5カ年のロードマップを策定したのは、航空業界各社と日本政府などで組織するコンソーシアム、次世代航空機燃料イニシアティブ(INAF)。同コンソーシアムには、ボーイングやANA、JAL、日本貨物航空、日本政府、東京大学など46の企業・組織が参画している。

米国エネルギー省によれば、持続可能な方法で生産されたバイオ燃料を使うことで、従来の石油由来燃料と比較してCO2排出量をライフサイクル全体で50%から80%削減できる。ボーイング ジャパン社長のジョージ マフェオ氏は、「当社の長年にわたる日本との関係を足がかりとして、航空機のCO2排出量と化石燃料依存の低減に貢献していきたいと考えています」とコメントしている。

INAFでは、東京オリンピック・パラリンピックは日本とその航空業界にとって環境コミットメントを広く知らしめる「絶好の機会」とし、東京大学大学院の鈴木真二教授(航空宇宙工学)は、「持続可能なバイオ燃料を開発・利用することで航空機による環境負荷を低減できます。日本にとって、これは環境問題と同技術へのコミットメントを示す素晴らしい方法です」と述べている。

今回の報告書での主な結論としては、日本のエネルギー安全保障を支え、航空機の温室効果ガス排出量を削減するため、産官学が連携して持続可能な航空機用バイオ燃料の導入を推進する必要があるとした。

また、日本において持続可能な航空機用バイオ燃料の生産に利用できる供給原料は、都市ゴミと微細藻類、天然油脂、廃食用油、非可食バイオマス、木質草本系バイオマスの6種類があり、航空機用バイオ燃料の利用を成功させるには、次世代航空機燃料の導入を推進する政策インセンティブが必須要件であると定めた。